全国の医療従事者の職場環境とウェルビーイング調査結果を発表

医療従事者の職業生活に関する新たな調査結果

株式会社パーソル総合研究所が発表した「医療従事者の職業生活に関する定量調査」により、全国の医療従事者が感じる「はたらく幸せ実感」が全国平均よりも低いことが明らかになりました。この調査は新型コロナウイルスの影響を受けた医療現場の厳しい状況を背景に、医療従事者の職場環境や心理的健康を理解し、改善への第一歩とすることを目指しています。

調査の概要

この調査では、看護職、リハビリテーション職、その他医療職群、医療事務職の４つの職種にわたって、医療従事者がどのように職場での幸福感やストレスを感じているかが分析されました。約６割の医療従事者が「不活性」もしくは「バーンアウト」に該当する状態にあることが示されています。これらの結果を基に、医療従事者のウェルビーイングを向上させるための取り組みが重要であることが再認識されます。

医療従事者の幸福感

調査結果によると、医療従事者の「はたらく幸せ実感」は、全国の就業者平均を下回っています。特に「自己成長」、「他者貢献」、および「役割認識」との関連が強いことが分かりました。多くの医療従事者は、患者との関わりや貢献を通じて充実感を得ている一方で、負担感やストレスも高い状態にあることが惹起されています。

ハラスメントと心理的苦痛

さらに、調査では医療従事者の約30%が最近の1か月間に心理的苦痛を経験していると回答しており、特に看護師では医師からのハラスメントやインシビリティを多く受けていることが明らかになりました。この事実から、医療現場では職場環境を改善し、応えられる体制を整える必要があることが示唆されます.

クレーム対応による負担

患者やその家族からのクレームに対応することが多い医療従事者は、その過程で心身の疲弊を感じることが多く、この負担は特に看護師や医療事務職群で高い傾向にあります。クレーム対応を「組織」として行う職場では、モチベーション維持に良い影響を及ぼすことも示されています。このような体制の確立は、医療従事者の健康を支える重要な要素となります。

人事評価制度の見直し

調査の最後に、医療現場における人事評価制度のあり方についても言及されています。年功制が支配的な中、成果主義を取り入れる傾向も見られるが、評価プロセスにおけるフィードバックの大切さが指摘されています。職場の信頼関係の構築は、このような評価制度の導入に先立つべき課題です。

まとめ

本調査の結果は、医療従事者の職場環境に関する指針を示しており、今後の福祉政策や職場改革にとって貴重なデータとなります。医療関連の職に従事する人々が、より良い環境とサポートを受けられるよう、各方面での取り組みが求められています。特に、ハラスメントやクレーム対応、評価制度の見直しを通じて、多様なニーズに応じた職場環境の改善が進むことを期待しています。