2025年のKantar BrandZ調査で明かされた日本ブランドの躍進

ブランドの価値、Kantar BrandZ 2025年版

2025年5月15日、英国ロンドンに本社を置くカンター社は、消費者の認識と財務実績に基づく、最も権威あるブランドランキング「Kantar BrandZ 最も価値あるグローバルブランドトップ100」の最新の結果を発表しました。このランキングは20年の歴史を持ち、ブランドの進化を示す重要な指標となっています。

日本ブランドの躍進

2025年のデータによると、世界トップ100にランクインした日本のブランドは、トヨタ（77位）、ソニー（92位）、ユニクロ（97位）の3つです。これは、日本企業が世界市場での競争力を維持している証と言えるでしょう。2025年のブランド価値累計は、10.7兆ドルに達し、2006年からは9.3兆ドル以上も増加しました。

特に注目すべきは、米国ブランドの割合が2006年の63%から82%に増加した点です。しかし、中国ブランドが急成長を遂げており、今後の変動が予想されます。中国ブランドは、過去20年間でその価値が二倍に増え、現在トップ100全体の6%を占めています。特に欧州ブランドは、2006年の26%から現在は7%と大幅に減少しています。

ブランドの重要性とマーケティング

Kantar BrandZの責任者、マーティン・ゲレーラ氏は、「世界経済の不安定さの中でも、一貫して高いパフォーマンスを発揮するブランドは、企業にとって最も価値ある資産である」と述べています。その上で、企業が市場のショックに直面する中でも、マーケティングへの投資を削減すべきではないと警告しています。ブランドは、持続的な市場への露出や消費者との体験を通じて築かれるものだからです。

企業は消費者需要を損なうことなく、価格を上昇させることができるため、消費者はそのブランドにプレミアム価格を支払うことを納得します。この点についての理解は、特にブランドへ長期的な影響を持つ重要な要素です。

競争と成長のダイナミクス

また、2025年には新たにストライプ（85位）とチポトレ（86位）がRanking入りを果たしました。これらの企業は、消費者のニーズを捉え、また時には再定義することで大きな存在感を示しています。このようなイノベーターが、ブランド価値の形成に寄与しているのは明らかです。

2025年のKantar BrandZ調査では、全体のブランド価値が前年比29%増の10兆7千億ドルに達したことが報告され、これは過去最高の数値です。特に、ハイテク企業やディスラプションブランドがこの成長をけん引しています。

トップブランドには、アップルが前年比28%増の1兆3千億ドルで4年連続1位を維持し、BrandZのランキングにおいて唯一の1兆ドル規模のブランドです。アマゾンも好調で、ブランド価値が50%上昇し、8,660億ドルに達しました。

ソーシャルメディアと新たなチャレンジ

興味深いことに、InstagramとTikTokの成長率も注目されています。Instagramは前年比101%という驚異的な成長を遂げています。一方、ChatGPTも初登場で60位にランクインし、従来のブランドと厳しい競争を繰り広げています。これらは、消費者に対するアプローチ方法を根本的に改変する要因となっています。

ブランド価値の変遷と未来

Kantar BrandZのゲレーラ氏は、「デジタルが飽和する中で、成功するブランドは、消費者のニーズを満たし、感情的なつながりを持ち、他にはない価値を提供することが求められる」と語ります。ブランドの優位性は、消費者に共感を呼び、記憶に残るような体験を提供する力にあると言えます。

2025年の調査結果は、ブランド経営における新たな指針を示唆しているとも言えるでしょう。企業は、変化する市場環境や消費者の嗜好に対応しながら、持続可能な成長を模索していく必要があります。

【Kantar BrandZについて】
Kantar BrandZは、ブランド価値の評価を行うグローバルな指標であり、毎年発表されるランキングは、厳密な財務データと広範なブランドリサーチに基づいています。これにより、企業はブランド構築に関する洞察を得ることができます。

【カンターについて】
カンターは、マーケティングデータとアナリティクスに特化した会社で、企業の市場理解を深め、未来の戦略を形作るお手伝いをします。詳しくは、公式ウェブサイトをご覧ください。