海洋ごみ回収とNFTクレジットの新たな取り組みが始動
NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(COE)とエストニアのCarbontribe Labs OÜが連携し、海洋ごみ回収から生まれたNFTクレジットの発行を開始しました。この新しい取り組みは、企業のESGやCSR活動における環境保全への貢献を促進することを目指しています。
プロジェクトの概要
本プロジェクトでは、海洋ごみ回収の成果をデジタル上で記録し、NFT(非代替性トークン)として可視化します。これにより、企業は環境への貢献を定量的に示すことができ、資金の循環が生まれます。これまでの寄付や補助金に依存していた気になる海洋ごみ問題を解決する手段として、クリーンオーシャンアンサンブルはこのモデルを構築します。
背景と目的
近年、深刻化する海洋ごみ問題は、漁業や観光業に大きな影響を与えています。この問題を解決するためには、地域における継続的な清掃活動が不可欠ですが、それに必要な資金をどのように確保するかが課題とされてきました。
クリーンオーシャンアンサンブルは、過去に小型回収装置の開発や海洋ごみMAPによるデータ可視化などを行ってきました。2024年には累計2トンのごみ回収を達成するなど、その成果は着実に上がっています。しかし、持続的な拡大には新しい資金調達モデルが必要でした。
連携内容と仕組み
このプロジェクトでは、科学的根拠に基づくデータ収集が行われ、回収データはブロックチェーン上のレジストリプラットフォームに登録されます。これにより、海洋ごみの回収量に応じてNFTクレジットが発行されます。例えば、「海洋プラスチック10kgの回収」が一つのデジタルクレジットとして記録されることにより、活動の透明性が確保されます。
発行されたNFTクレジットは国内外の企業や個人に販売され、購入者は特定量の海洋ごみ回収に貢献した証明を得られます。このルールの下に得られる収益は、活動の持続に向けた資金として再分配されます。
期待される効果と展望
この連携によって、ばらばらに行われていた清掃活動が一元化され、企業にとっても社会貢献としての新しい手法が提供されます。特にESG投資に力を入れる企業にとって、NFTクレジットは新たなCSR手段として機能します。これまでの寄付に代わって、透明で評価可能な証明書を手に入れることで、企業のブランディングやステークホルダーへの説明責任も果たすことができます。
クリーンオーシャンアンサンブルは、資金調達の新たなチャネルを得ることで、清掃プロジェクトの規模を拡大し、持続可能な推進のためのインパクトを可視化していきます。将来的には、国内外の他の回収団体とも連携し、より大きな効果を生み出す計画です。
また、Carbontribeにとっても、この日本での成功が今後の他地域への展開や他の分野への応用の足がかりとなります。
今後の展開
最初のNFTクレジットは、クリーンオーシャンアンサンブルが香川県小豆島町の多尾海岸で実施したビーチクリーン活動の成果を基に提供される予定です。これにより、実運用の課題を見直した上で、広範な販売展開に移行する方針です。得られたデータは行政や研究機関とも共有し、政策立案や啓発活動に役立てられます。
このようにして、海洋ごみ問題に対する新たな解決策を見出すためのエコシステムを構築することが目指されています。クリーンオーシャンアンサンブルとCarbontribeの連携は、テクノロジーと社会全体の力を集結させ、持続可能な未来へ向けて前進します。