株式会社IDYが新たな高利得アンテナを発表
2025年9月、東京都に本社を置く株式会社IDYが新しいローカル5G向けの高利得アンテナ「iAN263-L5G」の販売を開始します。この新製品は、従来の5G向け広帯域モデル「iAN262-5GS6」をベースにしており、特にローカル5G用バンドに特化して設計されています。
5G通信の現状と課題
近年、5GのSub-6帯(3.4~4.9GHz)は高速・大容量通信を可能にする一方、低周波数帯と比較して電波の減衰が大きく、特に建物内部や広い敷地内での通信安定性に課題が生じていました。そのため、通信環境が厳しい環境においては、上り回線の品質を確保するのが難しく、多くの企業が頭を悩ませていました。
これに対処するため、総務省は2024年9月30日付で端末出力の上限を従来の23dBm(約200mW)から29dBm(約800mW)に引き上げる規制の改正を実施しました。この改正により、送信電力が約4倍に増加し、ローカル5Gを導入する現場での通信の信頼性が向上することが期待されています。
iAN263-L5Gの特徴
iAN263-L5Gは、高利得を実現する防水仕様のアンテナで、5G Sub6-HPUE(High-Power User Equipment)に非対応の機器でも高いEIRP(Effective Isotropic Radiated Power)を実現します。バスタブ構造を持ち、IP56の防水性能を兼ね備えています。また、MIMO化された機器向けには、二つのアンテナを一つのケースに収める設計で、通信の性能をさらに向上させています。
特に、Peak Gainは4dB以上、Average Gainは3dB以上を実現しており、これにより多様な通信環境でも安定した性能を発揮します。
製品仕様
- - 型番: iAN263-L5G
- - 対応周波数: 3,300~5,000MHz
- - V.S.W.R: ≦ 3.0
- - Peak Gain: < 6dBi
- - アイソレーション: ≧ 20dB
- - アンテナタイプ: ダイポールアンテナ
- - インピーダンス: 50Ω
- - コネクタ: SMA Male x 2
- - ケーブル長: 3m、4m、15m
- - 防水規格: IP56
- - 動作保証温度: -40℃~+65℃、保存温度:-40℃~+80℃
将来的な展望
この新製品の導入により、5G通信の課題であった信頼性や安定性を高めることが期待されています。特に、工場や物流拠点、港湾などでの活用が見込まれ、業界全体への影響が大きいでしょう。また、国際的な端末開発との整合性を確保することにより、さらに多様なユースケースでの5G活用が促進されると考えられています。
新たな通信の可能性を切り開くiAN263-L5Gは、これからのデジタル社会において重要な役割を果たすことでしょう。