近年、創薬のプロセスにAIが果たす役割が注目を集めています。特に深層学習の技術は、薬の開発を大きく変革する可能性を秘めています。日本において、新薬の承認取得率は2000年~2004年の約1万3千分の1から、2018年~2022年にはなんと約2万3千分の1へと急激に厳しくなっています。その背景には、原因が解明されていない難治性疾患への対応が増えていたり、研究開発コストが高騰していることなどが影響しています。
このような課題に対処するために、AIをどの段階で、どのように活用すべきかが様々な企業によって模索されています。当法人では、特に難しいとされる「薬物標的の同定」の段階でAIを導入することに注力しており、研究が進んでいます。たとえば、最近顕著な成果を上げている深層学習モデル「AlphaFold」についても触れざるを得ません。このモデルは2024年のノーベル化学賞を受賞する予定であり、タンパク質の立体構造の予測に革命をもたらしています。
私たちの研究所では、AlphaFoldを用いてタンパク質構造を予測し、分子動力学シミュレーションを通じて、疾患因子と薬との結合をデザインすることによって、創薬プロセスを大幅に加速させる研究を進めています。
さらに、AIに関する基礎知識についても詳しく解説を行います。AIとは何か、CT画像がどのように精密に3D化されるのかといった基本的な部分を理解することも、参加者にとって有益な情報源となるでしょう。
このような内容の講演が予定されているイベントが2月28日(金)に開催されます。時間は15:00から16:00で、15:00~15:45に講演が行われた後、15:45~16:00に質疑応答の時間が設けられています。登壇者には、AI健康・医薬研究センターの夏目やよいセンター長(代行)と、インシリコデザインプロジェクトの李秀栄プロジェクトリーダーが名を連ねています。参加をご希望される方は、2月26日(水)17:00までに氏名、所属、連絡先電話番号を記載し、Eメールで国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所戦略企画部へご連絡ください。
参加条件は、科学に興味を持つ報道関係者であれば誰でも歓迎します。この機会に最前線の研究情報を得て、創薬の未来に触れてみませんか?