BULLが掲げる未来の宇宙利用とは
株式会社BULLは、宇宙産業における持続可能な未来の実現に向けた挑戦を続けています。栃木県宇都宮市に本社を置くこの企業は、文部科学省の中小企業イノベーション創出事業(SBIR)における重要なプロジェクトの一環として、宇宙デブリ対策装置の開発に取り組んでいます。
SBIR事業とは何か?
小規模企業が革新的な研究開発を行うことを促進し、その成果を国主導で社会に実装することを目的としたSBIR制度。この度、BULLはその中で特に重要なフェーズ2に移行。外部有識者による審査を通過し、具体的な予算としては最大13.1億円が交付されることになりました。この予算は2025年から2027年にかけて使用される予定です。
スペースデブリの問題
近年、宇宙での通信衛星や地球観測衛星の打ち上げが増え、宇宙空間には多くの物体が存在しています。しかし、これは同時にスペースデブリ(使用済みの衛星や破片など)の増加を招いており、物体同士の衝突リスクが高まっています。このような衛星やデブリの衝突は、宇宙における持続可能な利用に対する大きな挑戦です。
BULLの取り組み
BULLが開発しているのは、宇宙デブリ化防止装置(PMD:Post Mission Disposal)です。この装置は、ロケットや人工衛星に搭載され、軌道上で構造物を展開することで大気抵抗を増し、対象物体を迅速に減速させ、軌道からの離脱を促します。2024年6月にJAXAとの共創活動を開始し、さらに2025年には初の軌道上実証を記念すべきH3ロケットで行う予定です。このように、BULLは技術開発を着実に進めることで、待ち望まれる宇宙ビジネスの持続可能性に寄与しています。
国際的な連携
BULLは国際的な観点からも事業展開を進めており、フランスのArianespace社やイタリアのAvio社など、海外のロケット企業とも連携しています。このような国際的な取り組みを通じて、宇宙産業の一端としての活躍が期待されています。
株式会社BULLのビジョン
BULLは、宇宙利用サービスを「安価かつ簡潔に提供」することを目指し、「地球内外の惑星間の行き来を当たり前にする」というビジョンを掲げています。企業設立の背景には、宇宙デブリを防止する装置の開発を通じて、今後の宇宙開発における持続可能な利用とSDGs(持続可能な開発目標)への貢献があります。
最後に
BULLの取り組みは、我が国および国際的な宇宙産業の未来に新たな可能性をもたらすものです。その進展から目が離せません。今後のフェーズ3への進展がどのような形になるのか、引き続き注視していきたいと思います。