実質賃金の影響と家計の現状
最近発表された『家計のゆとり』調査により、多くの家庭が実質賃金の上昇にもかかわらず、生活のゆとりを感じていないことが明るみに出ました。調査は、働きながら子育てする女性を対象に行われ、363人の回答をもとに分析が行われました。
調査結果の概要
最初に注目すべきは、家計にゆとりが「ある」と答えた家庭が27.5%に対し、「ない」と答えた家庭が65.9%にのぼるという結果です。これは2021年の調査と比較しても、ゆとりがないとの回答が1.6ポイント増加しています。生活における圧迫感を如実に表しています。
家計の支出の現状
次に、家計の支出において特に負担を感じている項目は「食費(米や野菜など)」「水道・光熱費」「家賃・住宅ローン」の順に多いことがわかりました。特に食費は62.0%もの回答者が負担と感じているとのことです。物価の高騰が家庭に与える影響が顕著であることが伺えます。
必要な支出と希望する支出
興味深いのは、負担を考えなければ「もっと購入・利用したい」と回答した項目が「旅行」で62.3%に達し、次いで「外食費」や「趣味・習い事」が続いた点です。これも、暮らしにおいて必要な支出が多く、希望している活動の実施が困難であることを示唆しています。
フリーコメントからの声
特にフリーコメントでは、実情がリアルに描かれています。40代のSOHO/在宅ワークをしている回答者からは「育ち盛りの子の食費がかかるので補助がほしい」との声が寄せられました。50代の派遣社員は「カツカツの生活はもう限界」といった切実な思いを打ち明けています。
また、ある40代の正社員は「家計にゆとりがあれば、子どもの習い事や旅行にもっとお金を使いたい」と希望を語りつつも、現実との乖離を嘆いている様子が伺えます。さらに、60代のパート/アルバイトの方からは「何もかもが値上がりしてきてキツイ」との声もあり、世代による焦燥感も浮き彫りとなっています。
賃金上昇の影響はどこに?
しゅふJOB総研の研究顧問である川上敬太郎氏によると、実質賃金は27ヶ月ぶりに上昇を見せたものの、家庭においてはその恩恵を感じていない人が多いとのことです。特に物価上昇によって、安定した家計運営ができない家庭が多数存在することが明らかになりました。
今後の見通しと解決策
調査を通じて、物価や家計の圧迫感の改善に向けた取り組みが求められます。実質賃金の上昇効果が広がり、多くの家庭に実感できる形で影響を及ぼすことが期待されています。しかし、同時に、変わらない状況にいる家庭の実情も見逃してはいけません。個々の家庭の事情によって、今後も格差が広がっていく懸念も禁じ得ません。
今後、より多くの家庭がゆとりを持てるような社会の実現に向けて、施策の強化が望まれます。