東京大学と日鉄エンジニアリングが共同研究をスタート
2025年5月1日、国立大学法人東京大学と日鉄エンジニアリング株式会社が中心となり、カーボンニュートラル社会の実現に寄与するための共同研究が始まります。この研究プロジェクトでは、日本製鉄株式会社や13の関連企業と連携し、エネルギーインフラの材料信頼性を科学的に検証し、標準化を目指す「未来エネルギーインフラ材料高度信頼性探求拠点(MEIT)」が設置されます。
社会的背景と目的
私たちの社会は今、脱炭素化に向けた大きな波にさらされています。化石燃料から水素やアンモニアを利用する新たなエネルギーシステムの構築が急務であり、それを支える信頼できるインフラの材料評価が欠かせません。本講座は、これまで自然発生的だった企業と研究者の連携を強化し、さまざまな分野の研究者が協力して共同研究することで、社会課題に対する迅速な解決策を模索していきます。
共同研究の内容
この共同研究では、水素、アンモニア、CO2の液化貯槽、高圧輸送、新燃料格納に関連する材料の信頼性評価を行うことが中心です。具体的な研究内容は下記の通りです:
- - 大型液化アンモニアタンクの破壊評価技術と基準の開発(応力腐食割れ防止、溶接後熱処理省略)
- - 大型液化CO2タンクの破壊評価技術と基準の策定(溶接後熱処理省略)
- - CCS用の高圧CO2導管の破壊防止基準の設定
- - 大型液化水素タンク向けの新材料(廉価ステンレス鋼や低Ni鋼)の信頼性向上技術の開発
この研究により、経済性と長期的安全性を両立させ、持続可能なエネルギー社会を目指すことができます。
社会連携講座の具体的な運営
講座の運営は、幹事機関として株式会社神戸製鋼所、JFEスチール株式会社、日本製鉄株式会社、一般財団法人日本海事協会が責任を持ち、各企業が研究プロジェクトの計画策定や進捗審議に関与します。また、この共同研究を通じて得られた知見は特許として共有し、企業の成長や新技術の創出を支援します。
結びに
このような画期的な共同研究を通じて、東京大学と日鉄エンジニアリングはカーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な一歩を踏み出しました。私たちの未来がより持続可能なものであるために、これからの研究開発に大きな期待が寄せられています。