シャープが5G NTN通信の接続に成功
本年1月から2月の間、シャープはLEO衛星通信の運営者Eutelsat S.A.、半導体メーカーMediaTek、宇宙機器製造のAirbus Defense and Space、そしてITRIと共同で、5G NTN通信の接続実験を行い、世界初の成功を収めました。この実証実験により、モバイルデータ通信が難しい地域においても、質の高い通信が可能になる道が開かれました。
LEO衛星通信の意義
LEO衛星通信は、通信が困難とされる海上や山地、さらには災害発生時などにおいても、高品質な通信手段を提供することができます。現在、多くの衛星通信事業者はそれぞれ独自の通信方式を採用しているため、通信規格の標準化が求められています。そのため、シャープはスマートフォンで培った小型・軽量化技術を活かした、5G NTN通信に対応するLEO衛星向け地上局用フラットパネルアンテナの開発を進めています。
実証実験の成果
今回の実験は、国際的な通信規格である3GPPに準拠して行われました。地上のテスト基地局から送信された信号がLEO衛星を経由し、別の地点にある当社製のアンテナ試作機に受信されたことを確認しました。また、このアンテナ試作機から送信された信号が再びテスト基地局に受信されることも確認されました。これにより、5G NTN通信の送受信に関しての世界初の成功が達成されました。
未来に向けての展望
すでに広がっている5G技術を衛星通信に応用することで、アンテナの小型化やコスト削減が進むと期待されます。未来においては、衛星通信がモバイルデータ通信と同様の5G通信方式を採用することで、シームレスな通信切り替えが可能になり、いつでもどこでも安定した高速通信が実現するでしょう。さらに、5G通信で用いられるネットワークスライシング技術などを衛星通信に取り入れることで、自動運転や遠隔操作に必要な低遅延の通信ニーズにも応えられるようになります。
展示会での発表
この取り組みは、スペインで開催される世界最大級のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2025」にて、MediaTekのブースで展示される予定です。これにより、その進捗や成果を世界中の関係者にアピールする機会が得られます。
この実証実験により、シャープは5G NTN通信に関する研究開発を加速し、早期の実用化を目指しています。衛星通信の未来を切り開くこの技術に期待が寄せられます。