改正障害者差別解消法施行から半年
2024年4月1日に施行された改正障害者差別解消法が、法的な拘束力を持たず個別に判断される合理的配慮の提供を民間企業に求める法律であるため、その施行から半年が経過した現状を調査する必要がありました。株式会社ミライロは、障害者と企業からの意見を集め、実態調査レポートを公開しました。このレポートでは、障害者がどのような合理的配慮を求めているのか、また事業者が理解し実施する上での課題が浮き彫りになっています。
実態調査の目的
改正法の施行により、民間企業は障害者への合理的配慮を提供する法的義務を負っています。しかし、施行から半年経過しても、多くのビジネスの現場では何をどう提供すべきかが不透明な状態です。ミライロは、障害者が求めている具体的な措置や実例を集め、各事業者にとっての参考資料を提供することを目的としています。
認知度の低さ
調査結果によれば、改正法の施行を知っている障害者は36%に留まりました。すべての障害者において、「知らない」という回答が多いことが分かり、法律が施行されたことの認知度が非常に低いという現状が浮かび上がりました。これは、障害者と事業者との「建設的対話」を促す上でも、大きな課題となります。障害者自身が法律に対してどのような理解を持っているかが、関連する権利行使につながるため、今後はこのリテラシーを高める取り組みが不可欠です。
相談窓口の認知度
また、相談窓口に関する認知度も伸び悩んでいます。約8割の障害者が窓口の存在を知らず、利用したことがある人はたったの約15%という実態が明らかに。行政はこの状況を改善するために「つなぐ窓口」を設置しましたが、試行開始から半年での相談件数はわずか1,163件にとどまっています。改正法に基づく相談窓口の有用性が十分に伝わっていないのが現実です。
ミライロ目安箱の設置
ミライロは、集まった声や意見をより良く反映させるため、「ミライロ目安箱」を設けることにしました。このデジタルフォームでは、障害者やその周囲の人々が直面している問題を直接共有でき、設置から1年間で17,000件以上の声が集まりました。この取り組みは、障害に関する差別や不平等を監視するための第一歩となります。
今後の展望
ミライロは、調査結果を踏まえ、合理的配慮を促進するための活動を継続していくとしています。事業者への情報発信を強化し、障害者と事業者の橋渡しとしての役割を果たすことで、より良い社会の実現に努めていく予定です。法律の趣旨が広く理解され、障害者が安心して生活できる環境が整うことを期待しましょう。
まとめ
改正障害者差別解消法の施行から半年という時間を経て、障害者が求める合理的配慮の実態と、現存する課題も徐々に明らかになってきています。今後の政策改善と社会全体の理解促進が急務です。みんなが共に生きやすい社会を目指して、取り組みを続けていくことが求められています。