新しい農業のかたち:チバニアン兼業農学校
近年、日本における農業の現状は厳しさを増しています。農業人口の激減が続く中、兼業農家の重要性が見直され始めています。特に、「チバニアン兼業農学校」はその新たな可能性を切り拓く場所とされています。この学校は、都市部での生活を維持しながら農業に携わるための実践的なプログラムを提供することを目的としています。
入学者数の急増
2025年12月23日、チバニアン兼業農学校は440名の入学者を迎えました。うち、首都圏でのべ286名が就農を果たしています。この数字は、現実的な農業に向けた新しいアプローチが、都市部の人々に受け入れられていることを示しています。
実務支援と教育内容
この学校の最大の特徴は、就農の障壁となっていた農地取得や経営計画の策定を、現役の農政担当者や実務経験豊富な専門家が支援してくれる点です。単なる知識の習得に留まらず、実際に農家としての地位を確立するために必要な実務的な項目を効率よく学ぶことができるのです。
さらに、農業における収益性の改善を目指し、6次産業化や農泊、体験農業、さらには農家レストランやキャンプ場運営といった多様なビジネスモデルを講義しています。特に、個人で完結するのではなく、仲間と共に挑む「チーム農業」の重要性が高まっているところも新しい潮流と言えるでしょう。
共同体としての農業の推進
千葉県睦沢町の圃場では、農業の実務的な支援が提供されています。ここでは、地域の農政担当者や実績を持つ農家が教育者となり、具体的な農地の探し方や新規就農に向けたアドバイスが行われます。また、首都圏内での間接的な就農も支援しており、受講者は柔軟に必要なサポートを受けることができます。
新しい技術と学びの形
技術の学びについては、全国の農業指導者や農園との連携が進んでいます。座学と現地での実習を組み合わせたプログラムは、働きながら無理なく参加できるように設計されています。この形式は、受講生から高く評価されており、実践的なスキルを習得するための良い機会となっています。
兼業農家のメリット
兼業農業は「人生を賭ける選択」ではなく、リスクを抑えた副収入を得る手段と捉えられています。農業を通じて得られる新しい収入の道や、生活防衛の手段としての期待が高まっています。実際、農家住宅の建設や市街化調整区域での農地活用など、兼業ならではのメリットも多いのです。
多様な受講生の参加
チバニアン兼業農学校には多様なバックグラウンドを持つ受講生が集まります。国家公務員から医師、弁護士まで、各分野で活躍する人々が農業に興味を持つようになっていることがわかります。
共同栽培の実現
学校は、果樹栽培をポットで行うことで、共同管理を可能にしています。この新しい方法は、収益性の向上と作業効率の改善をもたらします。横浜市のオリーブベースには、既に40名の修了生が集まり、2000本のオリーブを共同管理しています。ITを活用した自動管理システムも導入されており、生徒同士の協力が進んでいます。
未来への展望
今後、チバニアン兼業農学校は首都圏を中心に、さらに多くの受講者に対して実践的な教育を展開していく予定です。農業に関わる新しい形を提供することで、都市生活を維持しながら、自らの手で食料を創り出す力を育んでいくのです。