日本生産性年次報告2025の概要
2023年11月18日、公益財団法人日本生産性本部が「生産性年次報告2025」を発表しました。本報告書は、2022年度および2023年度に続くもので、企業における生産性向上に寄与する「人的投資」に関する議論の結果をまとめたものです。この報告はイノベーションをはじめとした多様なアプローチを通じて日本の生産性の向上を目指す活動の一環として発表されています。
イノベーション会議の役割
本年次報告では「人的投資と企業の生産性」をテーマに、イノベーション会議の調査結果が掲載されています。この会議は政策研究大学院大学の大田弘子学長が座長を務め、人材投資が生産性向上に不可欠であることを強調しています。そこで議論された内容には、教育・研修や企業の人的資源に対する取り組みの現状についての調査データが含まれています。
アンケート調査の結果
20歳から69歳までの働き手2000名を対象に実施したアンケート調査の結果、以下の重要なポイントが明らかになりました:
- - 2024年度に企業から提供される教育・研修(Off-JT)を受講した割合は20.6%で、上司や同僚からの指導(OJT)を受けた人は25.8%でした。
- - 自己啓発を行った人は17.5%に留まり、特に企業内でのスキルアップ相談窓口や従業員への能力投資への評価は低調でした。
- - OJTや自己啓発の機会があった回答者は、それが無かった人と比べて仕事に対する満足度が20ポイント以上高いことがわかりました。これは、人的投資が企業の生産性を高める可能性を示唆しています。
企業ヒアリング調査の結果
さらに、企業ヒアリング調査では、人的投資に熱心な企業の事例が挙げられ、以下のようなポイントが提起されました:
- - 経営戦略の中心に人材戦略を位置づけ、育成や配置の方針を明確にすることが重要です。特に働きやすい環境の整備が求められています。
- - 従業員のマインドを経由しないと生産性には結びつかないため、学習が評価につながることを示す必要があります。
- - 適材適所の人事異動を実現するには、個々のスキルを把握し、意図を正しく伝えることがカギです。
座談会での議論
報告書内の座談会では、人的投資が生産性向上に与える影響や課題が幅広く議論されました。ここでは、外部人材の活用が新たな視点をもたらす一方で、報酬体系や評価について新たな課題を浮き彫りにしました。
結論
日本生産性本部が提供する「生産性年次報告2025」は、企業における人的投資の重要性を再確認させる内容となっています。報告書全体の詳細は、日本生産性本部の公式サイトで公開されていますので、興味のある方はぜひ一度ご覧ください。