ユニセフが警鐘を鳴らす世界の子どもたちの命について
最近、ユニセフ(国連児童基金)が発表した報告書によると、2023年の時点で、世界の5歳未満児の死亡数が480万人に減少したことが確認されました。この数字は、2000年からの持続的な投資の成果であり、子どもたちの生存率は歴史的な節目を迎えています。しかしながら、近年の進展は鈍化しており、今後の目標達成には深刻な資金削減の影響が懸念されているとのことです。
死亡の現状とその背景
2000年以降、国際社会が子どもの生存率向上に向けての投資を強化したことにより、子どもの死亡数は半分以上に減少し、死産数も33%以上の減少が達成されました。特に2022年には、初めて子ども死亡数が500万人を下回るという成果がありましたが、その後の進捗に暗雲が立ち込めています。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「子どもたちに対する支援策が国際的に展開されてきたおかげで、多くの命が救われているのは間違いありません。しかし、資金不足が進む中で、これまでの成果が台無しになってしまう危険性があります。」
資金削減の影響
主要なドナーによる大幅な資金削減の意向が伝えられる中、子どもの生存率向上のための支援計画は不安定な状態に置かれています。保健医療従事者の不足や診療所の閉鎖が進む中、必要な物資が不足する事態も起きており、これらの問題は特に、人道危機に見舞われている国々や子どもの死亡率が高い地域に深刻な影響を及ぼしています。特に、子どもたちに必要な健康サービスや支援が不足し、更なる危機を招く可能性があると、UN IGMEは警鐘を鳴らしています。
実際、2015年以降、5歳未満児の死亡率の年間減少率は、2000年から2015年と比べて42%も鈍化しているというデータが出ています。これは、資金やリソースが減る中で、持続的な支援が行われていない表れとも言えるでしょう。
予防可能な死因とその対策
5歳未満の子どもたちが死亡する主な要因のほとんどは、出生後1カ月以内に発生しています。その原因として特に多いのが、早産や分娩時の合併症です。また、新生児期を過ぎると、肺炎やマラリア、下痢といった感染症が子どもの死亡の主な原因となります。
この報告書では、良質な妊産婦・新生児・小児医療へのアクセスを支援することが、命を救う最大の鍵であると強調されています。具体的には、出産時に適時に医療施設を訪れ、適切なケアを受けること、妊娠中や出産後の好ましいケアの提供、そして定期的な予防接種と栄養プログラムの実施が必要です。
地域間格差とその影響
報告書は、子どもが生まれる国によって生存の可能性が大きく異なる点も指摘しています。例えば、最も死亡率の高い国々では、5歳になる前に死亡する確率が最も低い国の80倍にも達することがあります。特にサハラ以南のアフリカにおいては、14歳未満で亡くなる子どもの割合が尤も高く、緊急の支援が求められています。
このように、貧困層に属する家庭や地域によって、子どもたちの生存率が影響を受けている現状は、より大きな問題として認識される必要があります。
まとめ
ユニセフが伝えているように、子どもたちの生命を守るためには、適切な政策選択と十分な資金投入が不可欠です。政府やドナーに対し、子どもの命を守るための行動を促す取り組みが急務とされています。報告書は、全ての子どもと妊産婦が適切なケアと支援を受けられるよう、資金を投資する必要性を強調しています。子どもたちの未来を守るため、私たち一人ひとりができることを考える時が来ています。