副業人材マッチングサービス『lotsful』が実施した調査の概要
副業人材マッチングプラットフォーム『lotsful(ロッツフル)』は、パーソルグループのパーソルイノベーション株式会社が運営しており、企業の副業活用状況を把握するための実態調査を行った。この調査は、主に20〜40代の会社員を対象に実施され、結果は企業の成長における副業人材の役割について考察する貴重なデータを提供している。
調査結果の主要ポイント
調査の結果、特に“営業”や“情報システム”、“デザイン”などの基盤領域において、専任不在のポジションが多く見られることが明らかになった。調査回答者の約14.8%が営業分野における専任担当が不在であると答え、情報システムとUI/UXデザインも同様に12.5%で腑分けされた。これらのポジションは企業の成長に直結する重要な役割を担っており、専門人材が不足していることが企業活動におけるリスク要因となってしまう可能性が高い。
さらに、専任不在の主な原因として「採用が難しいため(23.9%)」や「業務量が少ないため(21.8%)」、「採用優先度が低いため(21.8%)」といった意見が挙げられている。これは、企業側でのリソース配分の歪みを示唆しており、この状況が長期的な競争力の低下を招く懸念もある。
専任不在が引き起こす3大リスク
調査結果はまた、専任不在によって引き起こされる主要な課題として「重要業務の後回し(25.7%)」や「判断の遅れや誤り(25.2%)」、さらに「業務の属人化(24.4%)」が挙げられ、いずれも短期的には顕在化しにくいものの、中長期的には企業に深刻な影響を及ぼすリスクをもたらすことが示された。特にこれらのリスクは一般的に見過ごされがちで、“静かな機会損失”として加算されていくことから、企業は警戒が必要である。
企業の専任不在対策
企業の規模によって専任不在の対応策は明確に分かれた。従業員10名以下の企業では、83.3%が社員の兼務を継続している一方で、1,001名以上の大企業では、34.5%が外部のコンサルタントや業務委託を行っていることがわかった。これにより、中小企業では内部リソースを活用し、大企業は外部リソースを積極的に活用するという二極化された状況が見受けられる。特に、副業人材の活用は広がりを見せており、企業全体のスピード感や持続性を回復させるための実効性ある手段として評価されている。
副業人材の活用状況
副業人材の活用が多い分野は、情報システム(25.3%)、UI/UX・デザイン(24.7%)、マーケティング(23.0%)とされ、これらは変化が速く高度な専門性が求められる領域である。このことは副業が単なるリソースの補完にとどまらず、新しい価値を組織にもたらす要素への変化が進んでいる証拠であろう。
副業活用による成果
調査の結果、副業人材を通じて業務推進のスピードアップや停滞していた重要業務の進展がうかがえ、それらの成果を実感していると答えた企業が82.7%に達した。これにより、専任不在による課題の解消が進んでいることが確認され、今後も副業人材の活用が拡大していくことが期待される。
結論
『lotsful』が明らかにしたデータは、副業人材を単なる補完要因としてではなく、企業の成長をもたらす戦略的なリソースとして認識する必要があることを示している。副業人材の導入が、企業の成長戦略において重要な役割を果たすことがますます明らかになってきた。今後のさらなる成長のために、企業は副業人材を「戦略パートナー」として迎え入れ、その知見を組織内にしっかりと残す仕組みを整える必要がある。