長野県茅野市のAI乗合デマンド交通が原村へ進出
長野県茅野市にて運営されているAI乗合デマンド交通「のらざあ」が、隣接する原村において新たな実証運行を開始します。この取り組みでは、2023年3月までの期間、地域の交通ニーズに応じた新しいモデルを考察し、公共交通の利便性を引き上げることが目的です。
「のらざあ」は、Via(ヴィア)の先進的な運行アルゴリズムを用いており、乗客の目的地に応じて効率的にルートを設定し、同じ方向を向く複数の乗客を同一の車両で共有するシステムです。これは従来の定期路線バスに比べ、柔軟性と効率性に優れる特徴を持ち、特に公共交通が不便な地域に大きな影響を与えることが期待されています。
実施内容と運行の特長
予約方法: 乗車の1時間前までにスマートフォンのアプリまたは電話(0266-70-0710)で簡単に予約可能です。
運行時間: 平日の8:30から17:00まで運行。
乗降場所: 利用者は自分の出発地と目的地から近くの「仮想バス停」や、原村庁舎、病院、ショッピング施設などの既存のバス停で乗降できます。現在は茅野市と原村のエリアをまたいでの乗降はできませんが、諏訪中央病院については両町からの乗降が可能になっています。
運賃: 利用距離によって異なり、3km以下は300円、3~5kmは500円、5km以上は700円。また、高齢者や障害者、子どもには割引サービスも提供されます。
地域社会への期待
この新しい交通システムによって、以下の効果が期待されています:
- - 公共交通の空白地帯を解消: 現行の定込み路線バスではアクセス困難な地域にも「のらざあ」を活用することで、利便性が向上します。
- - 多様なニーズへの対応: 高齢化社会を背景に、様々な移動ニーズに柔軟に応えられる交通手段を提供。
- - 移動の自由度向上: 固定された路線による制約を解消し、住民のライフスタイルを豊かに。
- - 外出機会の創出: 現在の原村にはタクシーや民間バスがなく、公共交通のみが移動手段です。「のらざあ」の導入により、観光客や地元住民の外出機会が増加することが期待されています。
- - 財政負担の軽減: 運行にかかるコストの改善を図り、持続可能な交通サービスを実現します。
期待される関係者の声
原村長の五味 武雄氏は、「この取り組みは、現代の移動手段の需要に応えるための新たな試みとして重要です。」と述べ、AI交通の導入により、従来のバスサービスで十分に対応できなかったニーズに対応できると期待を寄せています。
また、Via Mobility Japanの日本代表、加藤忍氏も、「共同で新しい交通サービスを提供するモデルケースとしての意味合いを持ち、地域のライフスタイルを豊かにする手助けをしたい」と語っています。
これらの取り組みが成功すれば、長野県の公共交通の未来に大きな一歩を踏み出すことになるでしょう。地域の特性に寄り添った交通のあり方が、新しい移動の形を提案しています。