新たな文化拠点「古民家オーベルジュ」へ
姫路市野里エリアに、100年以上の歴史を持つ古民家を再生した「古民家オーベルジュ」が登場します。このプロジェクトは、ひめじ歴史と食文化ツーリズム推進協議会が手掛け、着工前の内覧会が2025年9月2日(火)・3日(水)の2日間にわたって行われます。この内覧会では、改修前の古民家を直接見学・撮影できる貴重な機会が提供され、歴史の記憶を感じることができます。
古民家の再生と食文化の融合
新しく生まれ変わる「古民家オーベルジュ」は、フランス料理を楽しみながら宿泊できる「泊まれるレストラン」として設計されています。この場所は、世界遺産である姫路城から近い城下町に位置し、古民家の歴史的な空間を活かした料理体験を提供します。料理をただの食事としてではなく、歴史とともに楽しむ「芸術体験」として昇華させる試みです。古民家は、かつては習字紙を扱う店やお米屋、さらにはそろばん塾として地域に密着し、町の人々に親しまれてきました。
内覧会終了後には改修作業が始まり、2026年初夏にはレストラン部門がオープンする予定です。秋には客室棟も整備され、本格的なオーベルジュ体験が始まります。この新しい旅のスタイルは「料理を味わうために泊まる」と定義され、古民家の残存自体が“滞在の価値”となることを目指しています。
独自の舞台空間での食体験
本オーベルジュの核となるのは、江戸時代からの古民家内に設けられた舞台型カウンターレストランです。この場所では、シェフが直接料理を提供し、煙火の揺らめきや調理の音が響くことで、まるで舞台を観ているかのような体験ができます。料理長の米田武史氏は、長年の経験を生かして地元の食材を最大限に活用し、その時々で変わる季節感や味わいを大切にしたメニューを提供しています。
料理は歴史的建物の渾身の一皿となり、文章では表現しきれない深い感動をもたらします。古い梁や漆喰壁は、料理に命を吹き込み、光と影が織りなす舞台を演出します。プライベート空間も設けられ、家族や親しい友人との特別な時間を楽しむことができるように配慮されています。
宿泊体験の魅力
オーベルジュに宿泊することの本当の価値は、食事を通じて記憶に残る体験を翌朝まで持ち帰れることにあります。客室は静けさと古民家の余白を活かし、宿泊者は「食の記憶を反芻する時間」を設計しています。夜明けと共に、静かな散策で姫路城を望む美しい風景が待っています。このエリアは、城と共に生きてきた町の歴史を巡り、新たな発見を促します。
歴史と食文化を次世代へ
ひめじ歴史と食文化ツーリズム推進協議会は、伝統を受け継ぎながら新しい観光のかたちを創出することを目的に、2025年に設立されました。この取り組みは、地域資源を守るだけでなく、地域振興や観光の新しい需要を生み出すことを目指しています。、「古民家オーベルジュ」のプロジェクトは、その象徴とも言えるでしょう。姫路城下町・野里の歴史と播磨の食文化を世界へ発信し、滞在型観光の拠点として進化を続けることが期待されています。
この取り組みによって、地域資源を活かした新しい食文化体験と宿泊のスタイルが生まれることでしょう。これからの「古民家オーベルジュ」が持つ可能性に、期待が寄せられます。