医療現場におけるコーチングの重要性:組織変革と個人の変容
医療業界を取り巻く環境は、医療ニーズの変化、診療報酬の改定、働き方改革、多様性への対応、人材確保など、かつてないほどの変化を遂げています。こうした変化に対応し、患者中心の質の高い医療サービスを提供するためには、組織変革を牽引し、リーダーシップを発揮できる人材育成が不可欠です。
コーチ・エィは、2010年から医療従事者を対象としたコーチングプログラムを提供し、医療機関の組織変革を支援してきました。今回、第26回日本医療マネジメント学会学術総会にて、組織内コーチングが医療従事者の変容に与える影響に関する口頭演題発表を行いました。
発表された研究では、組織変革を目的としたコーチングが、医療従事者のリーダーとしての意識と行動にどのような影響を与えるか、実際のプロジェクトにおけるエビデンスに基づいて検証しました。その結果、プロジェクト開始当初は非医療業種と比較してリーダーとしての意識・行動が低かった医療従事者において、プロジェクトの進行に伴い、すべての項目で非医療業種と同等の向上が見られたことが明らかになりました。特に、「目標達成に向けた新たな関係構築」という項目において顕著な上昇が見られ、看護職・医療技術職・事務職、医師の順に高い向上を示しました。
ランチョンセミナー:対話による組織変革の可能性
同学会では、コーチ・エィが共催したランチョンセミナーが開催され、約250名の参加者で満席となりました。セミナーでは、社会医療法人同心会古賀総合病院 理事長 古賀倫太郎氏、岡崎市民病院 院長 小林靖 氏をお迎えし、医療現場におけるリーダー開発や職員間の関係構築、コーチングの活用について、実践的な事例や知見が共有されました。
古賀氏は、地方都市の民間病院における組織変革の取り組みとして、理事長自らがコーチングを学ぶことで、幹部職員や職員との対話を促進し、組織全体で変化を推進した経験を語りました。また、小林氏は、公立病院におけるコーチング導入によって、組織文化を変革し、病院の持続的な成長を図るための取り組みを紹介しました。
さらに、鼎談形式では、古賀氏、小林氏、コーチ・エィ執行役員の大塚志保氏との間で、対話型リーダーシップや組織文化変革について活発な意見交換が行われました。
コーチ・エィ:組織変革を支援するコーチングファーム
コーチ・エィは、人と人との関係性に焦点を当て、システミック・コーチングというアプローチを用いて、組織全体の変革を支援する対話型の組織開発を推進しています。1997年の創業以来、日本におけるコーチングの普及と拡大に貢献し、クライアントの約8割はプライム市場に上場している大企業です。コーチング人材育成にも力を入れており、これまでに1万人以上のコーチを育成してきました。
2008年には、コーチング研究所を設立し、エビデンスに基づいたコーチングサービスを提供しています。豊富なコーチング実績のデータ分析に基づいて、コーチングに関する学術研究や成果の可視化に向けた研究にも積極的に取り組んでいます。
東京、ニューヨーク、上海、香港、バンコクに拠点を構え、日本企業の海外拠点だけでなく、海外現地企業にもコーチングを提供しています。2019年には、世界的なコーチ養成機関であるCoach Uの子会社化を実現し、さらなるグローバルネットワークの拡大を目指しています。
まとめ
コーチ・エィは、医療現場における組織変革を支援し、人材育成の重要性を訴えています。今回の学会発表やランチョンセミナーを通して、医療現場におけるコーチングの有効性と重要性が改めて認識されました。今後、コーチングは医療機関の組織変革を促進し、より質の高い医療サービスを提供するための重要なツールとして、ますます注目を集めていくことが予想されます。