心筋細胞の一歩先を行く!革新的心毒性評価法のご紹介
心筋細胞を利用した従来の心毒性評価に新たな風が吹き込まれました。タカラバイオ株式会社が発表した『3D模擬心臓壁(MiraCell Cardiomyocytes 3D)を用いた心毒性試験』は、これまで観察できなかった用途においても威力を発揮します。この技術は、不整脈の一種であるTorsades de Pointes(TdP)様波形と呼ばれるものを検出する能力を持っています。
TdPの理解
TdPは急性の心不整脈の一つで、時には突然死を引き起こすリスクを秘めています。その名称はフランス語に由来し、英語では「twisting of peaks」と訳され、言葉通り「棘波の捻れ」を意味します。TdPは主に医薬品の副作用として発生し、これが原因で市場から回収される医薬品も少なくありません。特に有名な例として、2000年に回収されたシサプリド(Cisapride)が挙げられます。
3D模擬心臓壁の特長
iPS細胞から生成された心筋細胞を用いた心毒性評価はすでに行われていますが、心筋細胞のみでは観察できないTdP様波形を検出することができるのが、MiraCell Cardiomyocytes 3Dを用いた心毒性評価の大きな強みです。この3Dモデルは、心筋の生理学的特性をよりリアルに再現し、医薬品の特性評価をより正確に行えます。
マーケットでの影響
この新しい心毒性評価方法は、医薬品の開発プロセスを劇的に改善し、開発期間の短縮やコスト削減、さらには新たな発見をもたらす可能性を秘めています。医薬品開発におけるリスクを低減し、安全性を向上させるこの技術には、業界から高い関心が寄せられています。
タカラバイオの役割
タカラバイオ株式会社は、当社の持つ技術を活用し、日本、中国、韓国、インド、ASEAN加盟国において製品の開発と販売を行う独占的なライセンスを保有しています。彼らは研究用途に特化した心毒性試験を提供し、これにより医薬品開発の未来をさらに明るくしています。
詳細については、タカラバイオ株式会社の公式ウェブサイトをご覧ください:
タカラバイオ株式会社
また関連する研究論文もNature Communicationsでご確認いただけます:
Nature Communications
今後の医薬品開発において、この心毒性評価がもたらす影響に期待が寄せられています。新しい技術によって、心不全や不整脈のリスクを減少させ、安全な医薬品の開発が促進されることでしょう。