育児・介護休業法改正に向けた企業の意識調査結果から見る働き方の未来

2025年4月から実施される育児・介護休業法の改正は、企業に対し柔軟な働き方を整備することを求める重要な転換点です。この法改正によって、子育てや介護に携わる従業員が仕事と家庭を両立しやすくなることを目的としています。キャディ株式会社が実施した意識調査では、1,000名の従業員を対象にこの法改正がもたらす影響についての認識を探りました。

調査の概要

調査対象者は製造業、建設業、金融、商社、サービス業の5業界から選ばれ、管理職と非管理職の双方からのデータを収集しました。この調査は、法改正に対する管理職と非管理職の意識差、さらには子供の有無による認知度の違いを明らかにしています。

法改正の認知度

調査結果によると、法改正の内容を認知し理解しているのは全体の約22.9%にとどまりました。特に管理職の認知度は36.2%であるのに対し、非管理職は14.8%と低い数値です。子どもがいる従業員の認知度は32.5%なのに対し、子どもがいない人ではわずか14.8%でした。これは、制度の周知不足が浮き彫りとなっています。

柔軟な働き方の導入状況

さらに、調査は「子の年齢に応じた柔軟な働き方」の導入状況に大きなギャップがあることを示しています。管理職は、すでにテレワーク導入などに対して前向きな意見を持っている一方で、非管理職はその多くが「できない」との回答を寄せています。このことから、制度の利用環境や周知が不十分であることが明らかになりました。

従業員が望む制度

調査において、子どもを持つ従業員が利用したい制度の人気ランキングでは、「テレワーク導入」がトップとなる一方、製造業では「短時間勤務制度」が最も支持を集めました。製造業の特性上、実務への影響が大きいこの制度の要望が高まっていると考えられます。

課題認識の違い

企業が直面している課題に関して、管理職は「業務負荷の偏り」や「組織の体制整備の困難さ」を上位に挙げており、非管理職は「特に課題を感じない」という意見が多いです。このギャップは法改正への適応において、非管理職が制度実施に対しての理解や実感が不足していることを示唆しています。

課題解決策

課題解決策として、管理職は「業務の標準化」や「業務システム導入による効率化」を求めていますが、非管理職の半数近くが「わからない」と答えています。これは、制度の周知不足が原因かもしれません。業務の効率化は、今後どの企業にとっても重要な課題となりそうです。

法改正の評価

また、法改正についての全体的な評価はポジティブであり、特に「企業イメージの改善」が最も高く評価されていますが、製造業の非管理職からは「生産性が悪化する」という懸念も寄せられており、柔軟な働き方の導入が業務に及ぼす影響について慎重な姿勢が浮かび上がります。

まとめ

この調査結果からは、法改正がもたらす環境の変化に対し、企業としてどのように対処していくべきかという課題が浮かび上がります。単なる制度の整備ではなく、従業員への理解促進と運用の改善が求められています。特に製造業では、職務内容の見直しやDX（デジタルトランスフォーメーション）の推進が必要不可欠です。これからの企業は、どのように働きやすい環境を整えていくかが鍵となるでしょう。