最近の入札市場における動向が明らかになってきました。株式会社うるるが運営する入札情報速報サービス「NJSS」が2025年2月度の入札マーケットのマンスリーレポートを公開しました。この調査によれば、2025年2月の公示案件数は199,106件で前年同月比102%、落札件数は120,239件で99%となっています。
特に注目すべきは、2月の入札検索キーワード急上昇ランキングに「脱炭素」が第3位にランクインした点です。これは、環境省が閣議決定した新たな「地球温暖化対策計画」が大きな影響を与えたと考えられます。この政策は2035年度までに温室効果ガスの排出を2013年度比で60%削減することを目指しています。
この政府の方針は、官公庁や自治体における脱炭素関連の取り組みへの注目を高め、その結果、関連した入札案件の検索数が増加しました。また、環境省による交付金制度や「脱炭素先行地域」の選定といった国の施策もこの動きを後押ししています。これにより、国だけでなく地方自治体でも脱炭素に関連する案件が増加していると見られています。
調査報告によると、入札形式別の公示案件の割合は「一般競争入札」が39.1%で最も多く、次いで物品関連では「見積(オープンカウンター)」が48.6%を占めています。役務や建設・工事についても「一般競争入札」が多く見られ、全体にわたって入札形式は一般競争型が主流となっています。
エリア別で見てみると、東北エリアが前年比117%と増加しており、他の地域は減少傾向が見られます。業種別では、メディア関連や金融・保険関連の公示案件が増加した一方で、包装・衣類や建設関連物品が大幅に減少していることが確認されました。
また、落札金額は前年比133%となるなど、落札市場の活況を反映した数字も出ています。特に、脱炭素関連の入札案件は増加しており、その中には地方自治体による具体的な案件も含まれています。例えば、大和村がすすめている公共施設における自立型エネルギー設備導入業務や、仙台市の脱炭素センター構築業務などがそれにあたります。
このように、脱炭素は単なる環境問題にとどまらず、入札市場においても重要な位置を占め始めています。これからの入札動向については、ますます注目が集まることが予想されます。その一因として、国や地方自治体が脱炭素への取り組みを強化していることが挙げられます。今後の市場動向において、脱炭素関連の施策や取り組みがどのように影響を与えるのか、引き続き関心を持ちながら見守っていく必要があります。
「NJSS」は、これからも入札市場の変化をリアルタイムで捉え、企業や自治体が効果的に入札情報を活用できるよう支援していくことでしょう。最新の情報をチェックし、今後のビジネスチャンスを逃さないようにしていきましょう。