リガクが発表した新型ラマン分析装置「Icon-X」
リガク・ホールディングスの傘下に位置するRigaku Analytical Devices(アメリカ)が、薬物や危険物質の迅速な同定を可能にする新型ラマン分析装置「Icon-X」を発表しました。この製品は、既存のラマン分析装置から進化した第4世代にあたります。特に注目されるのは、化学的脅威に対する現場での対応力を向上させる機能を備えている点です。
「Icon-X」は、1064 nmのラマン技術を利用して、危険物を安全な距離から非接触で分析できる“スタンドオフ化学分析機能”を搭載しています。この技術により、爆発物や化学兵器などの潜在的な脅威に対し、使用者の安全を確保したまま迅速かつ信頼性の高い分析を実施することができます。これにより、従来のように時間を要するサンプルの採取が不要となり、現場のリスク評価がスムーズに行えるようになります。
Icon-Xの特長
操作性・ユーザビリティの向上
「Icon-X」は、新しい人間工学に基づくデザインで設計されており、持ちやすさと操作のしやすさが特長です。バックライト付きのキーパッドと高速レスポンスを持つ大型タッチスクリーンが搭載されており、操作性は一段と向上しています。さらに、処理速度も向上し、現場での迅速な対応が可能になりました。
高い分析性能
この装置は、化学兵器や爆発物、麻薬、有害な化学物質を広範囲にカバーしたライブラリを内蔵しています。また、1064 nmラマン技術によって、包装越しの分析や蛍光干渉を回避しながら、複雑な混合物や汚染物質の検出に対応しています。これにより、現場での迅速かつ正確な分析が実現します。
耐環境性・堅牢性
「Icon-X」は、米国軍用規格「MIL-STD-810H」に準拠しており、衝撃や気圧、温度に対する耐性を持っています。これにより、過酷な環境や除染作業にも十分対応できるとされています。また、防塵・防水性を保証する「IP68認証」を取得しており、屋外での使用にも安心です。
記録・管理機能の充実
この装置にはGPS機能が搭載されており、分析データに位置情報を付与することが可能です。加えて、LEDフラッシュ付きの13メガピクセルカメラにより、分析した対象物の鮮明な画像を取得することができます。これらの機能により、データの管理・記録が一層効率的になります。
応用性の広がり
「Icon-X」は、新型アクセサリーとして深さのある容器内部の分析に対応したボールプローブも備えています。これにより、従来の分析装置では行えなかった新たな応用範囲が広がり、さらなる利用可能性が期待されています。
発表と今後の展望
「Icon-X」は、2025年6月13日から14日に米国メリーランド州で開催される「The International Hazardous Materials Response Teams Conference(HAZMAT)」で初展示される予定です。なお、日本国内での販売開始は、2025年秋を予定しています。
リガクグループは、1951年の創業以来、分析技術のリーダーとして、産業・研究用分析のソリューションパートナーとして成長し続けています。その技術力は90か国以上で評価されており、国内では非常に高いシェアを誇っています。
「視るチカラで、世界を変える」という理念のもと、リガクは2,000名超の従業員によってイノベーションの実現に挑んでいます。今後も、化学分析技術を通じて、より安全な社会の実現に寄与したいと考えています。