カンボジアの初の栄養教育実施に向けたオンラインイベント
2023年12月9日、カンボジアの学校で初めて実施される栄養教育に関するオンラインイベントが開催されます。このイベントでは、栄養教育の必要性や実施にあたる様々な課題について、専門家の話を交えながら参加者と共有します。
カンボジアでは、学齢期の子供たちが栄養不足に悩まされています。日本のように学校での食育が十分に行われていないため、子供たちが正しい栄養知識を持つ機会は極めて限られています。FIDR(国際開発救援財団)が行った調査によれば、カンボジアの学齢期の子供たちの身長や体重は、東南アジア諸国の平均に比べて最大で約10%も低いことが明らかになっています。
このような背景から、カンボジア政府は2025年に全国の小・中・高校で新たな保健科目として栄養教育を導入する計画を立てました。しかし、栄養士という職業が確立されていないカンボジアにおいて、教育プログラムを独自に文化・社会の中で整えるのは簡単なことではありません。この課題を解決するため、FIDRが実績を持つ栄養分野の専門機関として、カンボジアの教育省と協力しています。
FIDRは2019年から3年間にわたって、栄養教育のカリキュラムや教科書の作成を進め、その準備が整いました。現在は、現地の教師を対象に研修を行い、教育の質を向上させる取り組みを推進しています。また、全国に先駆けて、栄養教育を受けるためのモデル校として4校を選定し、実際の授業が始まっています。これに伴い、トイレや手洗い場の不足といった衛生環境の改善にも力を入れています。
オンラインイベントの詳細
このオンラインイベントでは、FIDRカンボジア事務所に駐在する栄養専門家の甲斐永里氏が、栄養教育を導入するための困難や取り組みについてお話しします。また、日本の学校給食に精通した田中延子先生をゲストに迎え、日本が戦後に栄養不良の改善をどのように進めてきたか、その経験から学べることを共有します。さらに、一NGOが一国の制度をゼロから立ち上げる意義についても触れられます。
【日時】2023年12月9日(金)19:00~20:30
【形式】WEBミーティング(Zoom)
【参加費】無料(事前申し込みが必要)
【定員】85名(先着順)
申し込みは、以下のフォームから行えます。
お申し込みフォーム
締切は12月8日(木)午前10時です。
登壇者の紹介
甲斐 永里(FIDRカンボジア事務所栄養専門家)
カリフォルニア大学バークレー校栄養科学科卒業、チュラロンコン大学大学院国際健康開発研究科修士課程修了。病院や企業での経験を経て、食育研究に携わり、2017年からFIDRに参加し、カンボジアで栄養教育の普及に尽力しています。
田中 延子(株式会社オフィス田中代表取締役)
淑徳大学看護栄養学部客員教授であり、文部科学省の学校給食調査官を務めた経験も持つ。栄養教諭の指導や海外における日本の給食制度の紹介に関する活動を行っています。
このイベントは、カンボジアの未来を担う子供たちへの栄養教育の導入を支える一環として、多くの方々に参加していただきたいと考えています。私たちの取り組みが、カンボジアにおける栄養改善に貢献できることを願っています。