ハラスメント相談窓口設置義務化からの3年
2022年4月、企業にはハラスメント相談窓口の設置が義務化されました。しかし、設置から3年が経った今、実際にはその機能が果たせていない企業が多いという調査結果が発表されました。法務人材の不足が深刻化しており、形だけの窓口が存在するだけで、実質的な対応ができない事態が続いています。
設置義務化から3年、機能不全の現実
厚生労働省の調査によると、企業の64.2%が過去3年以内にパワーハラスメントについての相談を受けている一方、相談窓口の担当者が「対応が分からない」「組織方針が不明確」といった声が多く寄せられています。こうした状況は、相談窓口の責任者が孤立させられており、マニュアルの未整備や社内の連携不足が“セカンドハラスメント”を引き起こすリスクを高めています。
KPMGとトムソン・ロイターの調査によれば、77.3%の企業が法務人材の不足を実感しており、76.7%の法務担当者が専門性ある人材の不足を指摘しています。このように、法務人材の確保が難しい状況の中で、単に窓口を設けただけでは問題の解決には至らないのが現状です。
法務人材不足とアウトソーシングの需要
ハラスメント相談窓口の設置義務化による混乱を受け、法務アウトソーシングサービスの需要が高まっています。特に弁護士法人リーガルジャパンが提供する「リリガル(R)」は、外部から法務部門の機能を支援するサービスとして注目されています。これにより、企業は専門的な法務の知識を持つ弁護士によるサポートを受けることができ、相談対応や法務リスクのチェックがスムーズに行えるようになります。
2023年から2024年にかけて、顧問契約の導入企業が前年比で23%増加していることが示す通り、企業の法務アウトソーシングへのニーズは増加しています。法務に関する専門知識を持つ弁護士を雇うよりも、経済的な負担が軽減されるため、特に従業員30名以上の中型企業からの需要が高まっています。
実際の導入事例とその効果
顧客からは、「具体的な相談への対応ができるようになったことで、担当者の精神的負担が軽減された」「退職した法務部員の業務を弁護士に引き継がせることで業務が滞るのを防げた」といった声が寄せられています。特に、一度問題が発生してからの後追いでは業務効率が悪化するため、あらかじめ法務を適切に管理することが求められています。
「リリガル(R)」のサービス内容と今後の展開
「リリガル(R)」は、契約書の作成や社内ハラスメント相談の窓口対応といった幅広い法務業務をカバーしています。また、社内チャットツールに参加し、企画段階から法的リスクの洗い出しを行うなど、より実践的なサポートを提供しています。月額20万円からの低コストで利用可能と言うことも、経済的に助けられる点です。
今後は、社内弁護士に近い形で法務機能をより強化し、定期的な法律相談窓口を設置することにより、企業のコンプライアンス強化にも寄与していく計画を立てています。特に、法務のAI化による効率化も視野に入れており、企業における法務業務の役割を更に大きくしていくことが期待されます。
企業法務の未来へ
設置義務化から3年が経過したハラスメント相談窓口ですが、それに伴う法務の重要性と専門性が今また見直されています。法務人材の不足を背景にしたアウトソーシングの需要は今後も高まり続けることでしょう。適切な法務体制を整えることが企業にとっての競争力を左右する時代が到来しています。