Jパワーら4社が環境価値プラットフォームを共同開発

Jパワーら4社が目指す新たな再生可能エネルギーの価値付加

日本のエネルギー業界で大きな一歩が踏み出されました。電源開発株式会社（Jパワー）、インダストリー・ワン、NSW、Scalarの4社が共同で「環境価値プラットフォーム」の開発を開始しました。このプラットフォームは、再生可能エネルギーの持つ時間的価値を利用し、効率的なエネルギー供給を目指すものです。

背景と現状の課題

再生可能エネルギーは、気象や天候に影響されがちで、常に安定した電力供給が難しいとされてきました。そのため、現在の商慣習に従った非化石証書に基づく取引では、リアルタイムな電力調達が証明されづらい状況です。特に、太陽光発電は昼間には大量の電力を生む一方で、夜間には火力発電に依存せざるを得ないという矛盾が存在します。このような問題を解決するためには、時系列での環境価値の活用が求められます。

例えば、「24/7 Carbon Free Energy (CFE)」のように、時間ごとに100%を非化石電源で賄う取り組みが注目されています。また、昼間の太陽光発電を蓄電池で夜間に利用する方法も、有力なソリューションとなっています。このような流れを受けて、4社は共同でのプラットフォーム構築に踏み切ったのです。

環境価値プラットフォームの概要

「環境価値プラットフォーム」は、非化石電源が電力を供給する時間を正確に記録し、そのデータを需要データと結び付けるシステムを提供します。これにより、各時間帯での環境価値を明確に可視化し、適切な取引を促進します。

具体的には、発電データの改ざんを防ぐための分散台帳技術を活用した改ざん検知機能が組み込まれています。この技術により、発電量が正確に記録され、プラットフォーム内部でデータの信頼性が保証されます。さらに、非化石電源からの環境価値をプール化し、それを需要家にマッチングさせることで、取引の効率性が向上します。

各社の役割と展望

このプロジェクトでの各社の役割は明確です。Jパワーは、再生可能エネルギー供給の最適化とビジネスプランニングを担い、インダストリー・ワンはプロジェクトの支援とデータ管理を行います。また、NSWは改ざん検知システムの構築に注力し、Scalarはトランザクションを管理する技術支援を提供します。

今後、構築されるこのプラットフォームにより、非化石電源の利用が促進され、化石燃料を抑制するためのインセンティブが生まれることが期待されます。この取り組みは、エネルギー業界における新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。さらに、将来的には電力以外の環境価値の流通にも対応することで、企業の効率的なグリーントランスフォーメーション（GX）を支えていく意向です。