企業のオフボーディング実態を明らかにする調査結果

オフボーディングの重要性が明らかに

最近の調査によれば、労働市場の流動化が進む中で多くの企業が新規採用を行っている一方、欠員が発生した際の組織的な取り組みである「オフボーディング」の重要性が増しています。株式会社パーソル総合研究所が発表したこの定量調査では、欠員発生時にどのような影響があるのか、また、どのように業務が引き継がれているのかが詳しく調査されています。

調査の背景と目的

調査の主な目的は、欠員発生後の業務の「アサイン」「引き継ぎ」「理解」といった側面から、どのような対応が行われているのかを明らかにすることです。特に、退職や育休、産休などによる欠員が発生した場合に組織内で生じる問題は多岐にわたります。これを踏まえ、欠員が発生しても、どのように業務が維持され、引き継がれるのかを詳細に見ていく必要があります。

調査結果の概要

調査結果によると、欠員が発生した場合、77.0%がその補充を行っていないことが明らかになりました。このことは、残業時間が増加し、職場のバーンアウトリスクが高まっていることに繋がります。さらに、40%が「他にも退職者が出る可能性がある」と感じていることも指摘されています。

業務の割り振りについて見ると、上司は類似業務の担当者に業務を引き継がせる「横滑り」や部下の業務量を均等にする「均等割」を指示することが多い傾向にあります。しかし、業務の引き継ぎがないまま退職する人もおり、77.6%が業務の引き継ぎを欠かしています。これにより、後任の47.1%が引き継ぎに時間が足りないと感じていることがわかります。

業務の引き継ぎと理解

後任の中には、引き継ぎ時間が不足していると感じることが多く、特に「商品開発・研究職」におけるその傾向が強いことが示されました。それに対して、業務を円滑に引き継ぐための連携は重要で、チーム内での協力が引き継ぎ時間不足に対処する要因となります。この結果から、暗黙の文化やコミュニケーションの要素が重要であることも浮き彫りとなりました。

調査結果からの提言

今回の調査を通じて、オフボーディングの重要性が強調されています。企業は退職者を送り出し、再雇用へとつなげるための戦略を見直す必要があります。特に、欠員発生時の適切な対応を強化することで、労働力不足の問題に立ち向かうべきでしょう。さらに、良好な関係を維持しつつ、どちらも気持ちよく送り出せる環境を整えることが求められています。

オフボーディングは、単に管理職の課題ではなく、組織文化の根本的な見直しなど、より広範な視点での対応が必要です。企業は、オンボーディングと同様の注目をオフボーディングにも集めるべきと心得るべきです。