膵がん早期診断コンソーシアムの発足
H.U.グループ中央研究所は、先日「膵がん早期診断コンソーシアム」を設立したことを発表しました。本コンソーシアムには、旭川医科大学やJA尾道総合病院、広島大学、東京慈恵会医科大学が参加し、自社開発の細胞外小胞(EVs)関連技術「EViSTEP」を基にした共同研究が行われます。膵がんは、初期症状が少なく、発見が難しいことで知られており、特にステージ4では5年生存率がわずか3%と非常に低い一方で、早期発見により生存率は85%に達することが分かっています。このような背景から、新たな診断マーカーの開発が強く求められています。
EViSTEPの概要とその役割
H.U.中央研究所が開発したEViSTEPは、独自の抗体と全自動回収機「Autoevis®」を駆使し、血液や尿などの体液から高効率・高純度でEVsを回収する技術です。この技術を利用して、EVsに含まれるタンパク質や核酸を解析することで、細胞の状態を把握することが可能となります。従来の画像診断や内視鏡では捉えにくい早期のがんの兆候を見つけ出す手段として期待されています。
参画機関とその貢献
このコンソーシアムには、以下の機関が参画し、それぞれの専門性を生かした役割を担います。
- - 旭川医科大学: EVs中のRNA解析を担当
- - JA尾道総合病院、広島大学: 「尾道方式」および「Hi-PEACE」に基づく診断プロジェクトを推進
- - 東京慈恵会医科大学: EVs中のタンパク質解析を実施
H.U.中央研究所はその技術提供を通じて、これらの機関との連携を強化することで、膵がんの早期診断技術の実用化に寄与することを目指しています。
膵がん早期診断の意義
膵がんの重要な点は、その発見の難しさです。初期段階ではほとんど症状が現れず、診断が遅れることが多いのが現状です。しかし、早期発見がなされれば、その分治療の選択肢も増え、生存の可能性も高まります。膵がん早期診断コンソーシアムの設立は、こうした癌に対する新たなアプローチを示しており、今後の研究成果が期待されます。
これからの展望
本コンソーシアムによる研究は、早期段階での膵がんの検出を可能にする診断マーカーの開発に寄与することが期待されています。各機関が集まり、専門知識と技術を持ち寄ることで、膵がんに対する効果的な診断技術を社会に実装し、更なる進展を目指して進行中です。膵がんという厳しい課題に対して、医療現場と研究所が手を携え、希望の光を見出すことができることでしょう。