東大IPCの「1stRound」が新たな挑戦を迎える
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(通称:東大IPC)が展開する国内最大規模の起業支援プログラム「1stRound」は、近年多くの企業や研究機関の参加を得て、その影響力を拡大しています。2023年においてこのプログラムの第12回支援先が決定され、味の素株式会社、ENEOS Xplora株式会社、関西電力株式会社といった大手企業がコーポレートパートナーとして新たに加わりました。これにより、スタートアップの成長が一層促進されることが期待されています。
起業支援に特化した「1stRound」の背景
「1stRound」は2017年に設立され、アカデミア内に存在する有望な技術シーズの事業化を助けることを目的としています。特に、社会実装を目指した起業支援は、近年ますます重要になっていますが、まだ十分なサポートが行われていないという現実があります。プログラムは、非株式型の資金支援を提供し、対象となるプロジェクトの事業価値を評価しつつサポートを行っています。
2019年にはプログラムの名称が「1stRound」に変更され、コーポレートパートナーとのコンソーシアム形式での運営へと進化を遂げました。これにより、参加者は多様な業界からのサポートを受けながら起業を進めることが可能になりました。具体的には、国公立・私立の18大学や4つの国立研究機関が参加し、学際的な横断的な協力が実現しています。
過去の成功と高い資金調達率
「1stRound」では、過去8年半の間に93チームが採択され、その内90%以上が資金調達に成功しています。また、助成金の採択率も50%以上に達しています。さらに、企業とのコラボレーションに重点を置いており、多くの企業が生まれるきっかけとなっています。こうした取り組みにより、技術シーズを持つスタートアップが、自身のビジネスを加速化させる機会が増えています。
新コーポレートパートナーの誕生
今回の発表で新たにコーポレートパートナーとして名乗りを上げたのは、日本を代表する企業の一連です。味の素は食品業界での知見を、ENEOS Xploraはエネルギー業界からの視点を、関西電力は電力業界における独自の技術と経験を提供することが期待されています。これで「1stRound」のコーポレートパートナー一覧は合計24社に達し、スタートアップ企業とのオープンイノベーションの可能性を広げています。
次回公募に向けて
「1stRound」は毎年2回の公募を実施しており、次回の公募は2025年4月14日から開始される予定です。このプログラムに申し込むことで、アカデミアの研究や技術を活用したビジネスの立ち上げが可能となります。
今年12月には第12回の審査会も実施され、9件の新たな採択企業が決定されました。これにより、過去9年間での累計採択数は102件となり、アカデミアから生まれるスタートアップの数は着実に増加しています。
具体的な採択企業の紹介
今回採択された企業の中には、先進的な技術を有するスタートアップが多数存在します。たとえば、株式会社DubGuildはAI吹き替え技術を開発し、農業分野ではYasAIがAIを活用した農作物の選果システムを提供しています。また、Freezoは冷凍技術の最適化によって電気代削減を実現するシステムを開発。毎回採択される企業は多様な分野で新たな挑戦を行い、それぞれの技術が社会変革に寄与することを目指しています。
アカデミアと企業の協力による未来
東大IPCは「1stRound」を通じて、アカデミアと企業の協力を通じたスタートアップの裾野拡大に貢献し、日本企業のオープンイノベーション活動を力強く支援していく考えです。多様な企業の参画により、多くの新しいビジネスが生まれる環境が整いつつあります。