大学生が立ち上げた「重症筋無力症かけはし基金」
22歳の大学生たちが、神経難病である重症筋無力症(MG)患者の未来を変えるための活動を始めました。MGは、筋力の低下や複視といった多様な症状を呈し、患者の生活の質に大きな影響を与える病気です。このプロジェクトは、MG患者の声を社会に届け、理解を深め、早期の診断や治療に結びつけることを目的としています。
クラウドファンディングの開始
重症筋無力症かけはし基金は、2025年11月7日からクラウドファンディングを行い、開始から約1か月で300万円の目標額の90%を達成しました。この活動は、MGの患者数が日本国内で約3万人と増加している現状を受けて、患者に対する社会的理解を促進するために立ち上げられました。
MGの実態と課題
重症筋無力症は、筋力が低下し、日によって症状が変動する神経難病です。その症状の多様性から、患者の体験や訴えが医療現場や社会で十分に理解されていない現状があります。例えば、「筋力が落ちると関節が痛い」「複視があると吐き気が生じる」という具体的な症状は、患者同士で共有されていますが、医学書での記述だけでは把握されにくいのです。このことが、診断や治療の遅れ、生活支援の不足につながっています。
プロジェクトの目的と活動
新しいプロジェクトの中心的なメンバーであるナツミさん(22)は、MG患者の実体験を記録し、医療と社会が適切に理解できる仕組みが必要だと強調しています。この基金では、以下のような活動を展開しています。
1.
医療者の顕彰制度:MG患者の症状に真摯に向き合う医療従事者を顕彰し、その理解を広める。
2.
ペイシェントジャーニーの作成:MGの発症から治療までの過程を質的データとして整理し、教材として出版する。
このように、MG患者の声を医療現場に届ける第一歩として、患者の実体験を中心にした情報発信を行おうとしています。
永続的な仕組みづくり
設立される基金は、10年や20年で終わらせず、次世代にいたるまで持続可能な活動のインフラとして機能することを目指しています。基本財産は元本保証の国債によって管理し、その利益で活動を運営する仕組みを作ります。また、運営体制にはボランティアによる専門家の協力も得ています。
クラウドファンディングの進捗
現在までに、集まった寄付金は基金の元本として積み立てられ、運営費は運用益で賄われる仕組みです。2026年3月には一般財団法人としての正式な運営を目指しています。多くの人々の共感と応援が基金の活動を支えています。このようにして、重症筋無力症の患者に寄り添った新たなサポートの形が、社会に広がることを期待しています。
詳しい情報や支援の方法については公式サイトをご覧ください:
重症筋無力症かけはし基金。