ローム、AIサーバー向け新型MOSFETを発表
ローム株式会社は、京都市に本社を構える日本の半導体メーカーで、最新の高SOA耐量を持つ100V耐圧パワーMOSFET「RS7P200BM」を開発しました。この新製品は、業界標準の5060サイズ(5.0mm×6.0mm)パッケージで、AIサーバーのホットスワップ回路やバッテリー保護が求められる産業機器電源のニーズに応えます。
新機能の特徴
「RS7P200BM」は、48Vの動作条件下で、パルス幅10msで7.5A、1msで25Aの高SOA耐量を確保しています。加えて、低オン抵抗RDS(on)を4.0mΩという省エネ性能を実現し、これにより通電時の発熱を抑えつつサーバー電源の高効率化を進めます。この技術革新によって、冷却負荷の軽減と電力コストの削減が期待されます。
新製品は2025年9月より量産化され、価格は800円(税抜)からスタートします。また、インターネットでの販売も行われるため、チップワンストップやコアスタッフオンライン等で購入可能です。
開発の背景
AI技術とその応用の急速な進化により、生成AIや高性能GPUが搭載されたサーバーの安定した稼働と電力効率向上の需要が高まっています。特にホットスワップ回路では、突入電流や過負荷に対して安定した動作を求めるための高SOA耐量が不可欠です。データセンターやAIサーバーにおいては、省エネ対策として48V系電源への移行が進んでおり、これに対応する新しい製品の必要性が生じていました。
ロームはこの市場ニーズに応える形で、5060サイズの小型パッケージMOSFETを追加することでAIサーバー向けの製品ラインを強化しました。これにより、データセンターでの電力損失の低減や冷却負荷の軽減に寄与し、サーバーシステムの高信頼性や省エネを実現することを目指しています。
アプリケーション例
新型MOSFET「RS7P200BM」は、さまざまなアプリケーションに対応しています。具体的には、以下の用途での活用が想定されています:
- - 48V系のAIサーバーやデータセンターにおける電源ホットスワップ回路
- - 産業機器電源(フォークリフトや電動工具、ロボット、ファンモーターなど)
- - バッテリー駆動の産業機器(AGVなど)
- - UPSや非常用電源システム(バッテリーバックアップユニット)
EcoMOS™ブランドについて
ロームが開発したEcoMOS™ブランドは、パワーデバイス分野において省エネ化が求められるさまざまなアプリケーションに最適なシリコンパワーMOSFETです。家電から産業機器、そして車載用途に至るまで、幅広い製品ラインナップを展開しており、各種パラメータからニーズに応じた製品選択が可能です。
このように、ローム株式会社は、AIサーバー市場を見据えた新型パワーMOSFETの提供を通じて、持続可能なICTインフラの構築と省エネルギー化に貢献していく所存です。