宇宙で味わう新鮮な青果物、その取り組みとは
株式会社ファーマインドは、国際宇宙ステーション(ISS)向けに新鮮な青果物の除菌・梱包を行った。今年、同社は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携を強化し、宇宙飛行士たちの食生活をより豊かにすることを目指している。
独自の青果物流通ネットワーク
ファーマインドは、全国規模でコールドチェーンを構築した青果の総合流通企業だ。テクノロジーを駆使して安全な食品を提供し、消費者の需要に応えつつ、生産者との繋がりを大切にしている。
今回、同社は福岡センターで、宇宙行きの新鮮な青果物の除菌と梱包作業を行った。特に重点が置かれたのは、宇宙という過酷な環境で食す生鮮食品の衛生管理だ。
厳格な衛生管理
ファーマインドはISO22000の国際規格を取得しており、食品安全管理が徹底している。工場内は厳格な清潔基準を設けており、JAXAが求める衛生レベルをクリアする青果物を提供するため、落下菌の数が非常に少ない環境が整えられている。
除菌作業では、次亜塩素酸水を使用して青果物を洗浄。微生物を限りなく除去し、JAXAの基準に沿った衛生状態を保つ。この洗浄プロセスを経て、提供される青果物は、厳しい宇宙環境でも安全に消費できる状態となる。
梱包技術の重要性
青果物の梱包には高度な技術が求められる。宇宙での打上げ時には、高い加速度がかかり、限られたスペースに収める必要があるため、適切な梱包方法が不可欠だ。
果汁がISS内で飛散することのないように、特殊な吸湿紙や鮮度保持フィルム、緩衝材のフルーツネットを駆使して梱包される。特に、青果物のサイズに応じて包装資材を調整し、ごみの排出を最小限に抑える工夫もなされている。
宇宙での食事を支える「光選のりんご」
今回、宇宙へ届けられた青果物には、ファーマインドの「光選のりんご〈真の実〉」も含まれている。このシリーズは、葉をとらない栽培方法を採用し、養分を豊富に含んだ甘いりんごを生産している。これにより、糖度選別が行われ、設定糖度以上の甘さを保証する。全ての果実は、収穫後24時間以内にコールドチェーンによって鮮度を保ちながら運ばれる。
未来の青果物供給を見据えて
ファーマインドは「生産者と消費者を繋ぐ」を企業の理念に掲げ、今後も新たな分野で青果物の流通の発展に貢献していくと意気込んでいる。今年発表されたこの取り組みは、宇宙飛行士たちの健康やパフォーマンスの向上にも寄与するものとして、大いに期待されている。
その活動は、宇宙での新たな食文化の確立にもつながる可能性を秘めている。今後も目が離せない企業の成長と挑戦に注目したい。