原子力の未来を議論する「AtomEco-2015」が成功裏に閉幕
原子力の未来を探る「AtomEco-2015」
2015年11月9日と10日の2日間、ロシアのモスクワで開催された国際展覧会「AtomEco-2015」では、世界中の原子力専門家たちが一堂に会し、原子力の安全性および廃止措置に関する重要な議論を行いました。このイベントは、ロシア国営原子力企業であるROSATOMが主催し、経済協力開発機構(OECD)NEAの支援のもとで実施されました。
原子力の安全性についての重要な会議
「AtomEco-2015」は、第8回目となる国際展示会で、廃止措置に関する戦略や実践、挑戦をテーマに、様々な国の専門家が集まりました。このイベントの全体会議に登壇したセルゲイ・キリエンコROSATOM社長は、近年増加の一途をたどる原子力産業界における環境安全性への認識の重要性について強調しました。
彼は、FTP NRS-2プログラムについて、2016年から2030年にかけて実施される計画を説明し、放射性廃棄物に関する全ての問題に対する包括的な戦略の必要性を呼びかけました。このプログラムは、5年ごとに3つの段階に分けられる予定です。
日本の経験と国際的な取り組み
特に注目された発表の一つは、日本原子力発電株式会社(JAPCO)の大畑仁史氏によるもので、福島第一原子力発電所の事故以降、日本がどのように原子力政策を再検討してきたかについて語られました。彼は、日本がエネルギー消費増加に直面する中、安全基準の整備が必要だったことを指摘し、その取り組みが廃止措置実施においても重要であると強調しました。
日本の原子力業界の経験は、他国の専門家たちにとっても非常に示唆に富むものであり、情報交換の場としても充実した内容となっていました。
国際的な専門家たちの参加
カンファレンスには、ロシア国内の原子力施設に関連する専門家だけでなく、スイス、スロバキア、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアなど、多くの国からの代表者が集まりました。特に、ENSI(スイス)、JAVYS(スロバキア)、EDF(フランス)、NUKEM Technologies(ドイツ)などの企業が参加し、様々な視点から廃止措置についての知見を共有しました。
また、ロシア科学アカデミーや、クルチャトフ研究所などの研究機関も参加し、放射性廃棄物と使用済み核燃料に関する専門家のラウンドテーブルも開催されました。
廃止措置の重要性
「AtomEco-2015」で議論された内容は、原子力エネルギーのライフサイクルの最終段階における廃止措置の重要性を再認識させるものでした。このイベントは、効果的な施策を策定するための意見交換の場となり、各国の経験を共有する貴重な機会でもありました。
日本をはじめとした各国の原子力事業者にとって、今後のエネルギー政策や国際的な協力を進めるうえで、「AtomEco-2015」での議論は重要な足がかりとなることでしょう。これからの原子力産業は、環境安全性を考慮に入れた持続可能な開発が求められています。
会社情報
- 会社名
-
ロスアトム国家原子力公社
- 住所
- RussiaMoscow119017Bolshaya Ordynka St.24
- 電話番号
-
03-5544-8481