東京貿易とネットワンが進める デジタルツイン技術と製造現場の未来
背景と目的
日本においては、労働力不足が深刻化しています。この状況下で製造業は、デジタル技術を駆使し、効率化や省力化を図る必要があります。こうした課題に対処するため、東京貿易テクノシステム株式会社(以下、TTS)とネットワンシステムズ株式会社が手を組み、共創プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、LiDAR(Light Detection And Ranging)技術とローカル5Gを駆使して製造現場のデジタル化を推進します。
LiDARとは?
LiDARはレーザーを使用して距離を測定し、対象物の三次元情報を取得する技術です。通常は有線接続で使用されることが多く、製造環境での柔軟な運用が難しいという課題がありました。本プロジェクトでは、これをローカル5G接続の特徴を生かして無線化し、製造現場における安全性と効率を向上させることを目指しています。
プロジェクトの検証内容
この共創プロジェクトでは、大きく分けて二つの検証が行われています。
1. Wi-Fi6とローカル5Gの比較検証
LiDARを用いた三次元データ収集に向け、Wi-Fi6とローカル5Gの性能を比較しました。Wi-Fi6ではデータパケットロスが多く、安定したデータ取得が困難でしたが、ローカル5Gではパケットロスが発生せず、クリアなデータ通信が可能となりました。この成果により、LiDARの無線化が実現し、製造現場での活用が期待されています。
2. 侵入検知デモ
もう一つの重要な検証では、ローカル5G環境内で得られる点群データを活用し、デジタルツイン空間モデルを構成しました。このモデルを用いて、製造現場における人の侵入を検知し、即座に生産ラインを停止させるデモを実施。これにより、労働者の安全を守るための新たな手段を提示しました。システムは、広い範囲をカバーし、従来の有線接続では難しかったクレーンなどの移動体への適用も可能となっています。
今後の展望
両社は今後、製造業向けにデモを行い、LiDAR技術を通じた安全性向上や省人化の具体的な手法を提案していく予定です。また、港湾や水力発電におけるニーズにも対応し、広範囲な環境での活用方法を模索していくことで、新たなイノベーションに寄与することを目指します。
企業情報
- - 【ネットワンシステムズ株式会社】は、ICT分野での革新を追求し、社会と経済の発展に貢献するサービスを提供しています。
- - 【東京貿易テクノシステム株式会社】は、高度な技術集団であり、次世代のシステムインテグレーターとしての役割を担っています。これからも両社の共同研究と技術革新に期待が寄せられます。