心エコー自動解析ソフトウェアの日本展開
順天堂大学とエムスリーAI株式会社は、シンガポールのUs2.aiが開発した超音波画像解析ソフトウェア「Us2.ai」を日本市場で展開するための協業を開始しました。この取り組みは、日本の超高齢化社会における心疾患を含む医療課題の解決に向けたものです。
背景と課題
日本では心疾患が死因の中で第2位を占めており、心エコー検査は心臓の機能を評価する上で不可欠な手段とされています。しかし、年間約947万回の心エコー検査が行われているにも関わらず、検査技師の不足や技術的な難しさから、必要な患者が迅速に検査を受けられない現状があります。このような課題を解決し、診断精度を向上させるため、AIを用いた効率的な画像解析の導入が重要となります。
Us2.aiとは?
Us2.aiは心エコーの画像解析をAIで行い、心房や心室の各種計測を自動で行うツールです。これにより、国際ガイドラインに基づく心機能評価が可能となります。現在、世界25カ国で導入されており、日本においても医療現場の働き方改革に貢献することが期待されています。
率先しての展開
順天堂大学はその循環器医療に関する豊富な臨床知見を活かし、Us2.aiの日本市場向けの最適化を監修します。これにより、都心の大学病院から地方のクリニックまで幅広く利用できる製品展開を目指しており、地域医療の質向上に寄与することを目指しています。
M3AIの役割
エムスリーAIは、国内最大級の医療AIプラットフォームを提供しており、24年6月末時点で累計300万回の検査解析結果を全国の医療機関に届けています。これにより、Us2.aiと順天堂大学の協力を通じて、日本全国の医療機関での診断精度向上と効率化を図り、不必要な医療コストの削減を目指します。
職場改革と効率化
実際に、Us2.aiを導入することにより、心エコー検査にかかる手動作業が70%も削減されることが実証されています。これにより、同一の検査技師であっても、より多くの検査を行うことが可能になると期待されています。
おわりに
今回の協業は、効果的な医療提供を実現するための重要な一歩であり、国民の健康を守るための新たな柱となることが期待されます。今後、Us2.aiが日本の医療界にどのように貢献していくのか、注目が集まります。他国に先駆けて日本の地域医療を強化するために、順天堂大学、エムスリーAI、Us2.aiの3者の連携がどのように発展していくのか、目が離せません。