データアナリティクスラボとエヴィクサーの共同研究開始の背景
2023年、データアナリティクスラボ株式会社(以下、DAL)とエヴィクサー株式会社(以下、EVIXAR)は、音響信号処理技術を活用したインターネット上の偽情報対策に関する共同研究を開始しました。この取り組みは、エヴィクサーが受託する総務省の「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」の一環として、さらなる技術の深掘りを目指しています。
背景と目的
最近、SNSや生成AIの普及に伴い、インターネット上での偽情報やディープフェイクの問題が深刻化しています。特に、音声や映像の信憑性を保証する技術が求められており、これに対する国際的な対応や標準化が急務です。
この共同研究では、エヴィクサーが開発した「Evixar Audio Forensics(EAF)」という音響解析クラウドシステムを基に、DALが得意とするAIとデータ解析技術を組み合わせ、以下の2つのテーマを研究していくこととなります。
1. 多様な生成モデルを用いたテストデータの作成と体系化
2. 音声・映像コンテンツの真偽判別技術の高度化
期待される研究成果
この共同研究の成果は、国際的なAIガバナンスの動向や標準化団体での取り組みを意識して進められ、「信頼できる情報流通基盤」の構築に寄与することを目指しています。具体的には、偽情報対策に必要な技術の確立が求められています。特に音声や映像コンテンツにおける真偽の判断能力を高めることが主な目標です。
研究の源泉
本研究は、総務省が実施する偽情報対策事業において、エヴィクサーが採択されたことに起因しています。EAFというソリューションは、以下の基礎技術によって支持されています。
- - 音響透かし技術(Audio Watermark): 音声信号内に人間の耳では聞こえない形で情報を埋め込み、コンテンツの真正性を保証します。この技術は、データ改ざんやコピーを検知する際に高い耐改ざん性を持つことが特徴です。
- - 音響フィンガープリントによる真偽判断支援技術: 音声データを短いインターバルで特徴量に変換し、その特徴を照合することで同一性や改変の有無を判断します。
- - 生成AIによるコンテンツの判定技術: 音響フィンガープリントを用いて生成AIが作成したと疑われる音声を解析し、不自然かどうかを判断します。
これらの技術が統合されることで、より信頼性の高い情報の流通が実現可能になります。
研究の今後
本共同研究の成果は、2026年3月を見込みとして総務省の報告書にて公表される予定です。データアナリティクスラボは、この研究を通じて真に信頼できる情報社会の構築を目指しており、エヴィクサーと共に偽情報対策に貢献することを約束しています。
この記事を通じて、両社がどのように協力して進化し、偽情報問題に取り組んでいるかをご理解いただければ嬉しいです。