地域企業が描く新たな価値創造
宮城県気仙沼市に位置する水産関連企業、アサヤ株式会社は、175年もの長い歴史を持つ企業として地域漁業を支えてきました。しかし、その一方で人事業務においていくつかの課題を抱えていました。特に、少子高齢化や人手不足が深刻な時代に突入する中で、いかにして持続可能な成長を実現するかが問われていました。
人事業務の課題
アサヤは、以下の3つの具体的な人事課題に直面していました。
1.
人事評価制度の属人化
従来、評価フォーマットをExcelで個別に運用していたため、情報の共有が困難で、運用に手間がかかる状況にありました。
2.
従業員情報のアナログ管理
従業員の資格や家族構成といった重要な情報が紙で管理されており、特定の担当者以外は情報を把握できない非常に非効率な状態でした。
3.
人材の育成と確保
デリケートな情報を扱う人材の確保が難しく、組織の成長に不可欠な信頼できる管理体制を構築することが課題とされていました。
こうした課題を解決するために、アサヤは人事アウトソーシングサービス「
あっぱれHR」を導入することを決定しました。このサービスは、地域で働く意志を持つ女性たちとの共創を実現するものです。
あっぱれHRの導入
「
あっぱれHR」は、株式会社Palletが提供する人事領域に特化したBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスです。特に注目すべきは、育児中の女性たちが中心となったスクラム型チームがこのプロジェクトを支えた点です。これにより、業務の標準化やデジタル化が推進されていきました。
主な支援内容
kintoneを用いたアプローチで人事評価を一元管理します。
従業員情報を一元化し、効率的なデータ管理が可能に。
継続的改善提案を行い、運用にも伴走します。
このプロジェクトは、育児中のシングルマザーを含むメンバーがチャットを活用してオンラインで円滑にコミュニケーションし、プロジェクトを推進しました。
経営者の思い
アサヤの代表取締役社長、廣野一誠は、「
あっぱれHR」の導入にあたって、次のように語っています。
「人事業務の効率化だけでなく、地域女性の活躍機会の創出にもつながるビジネスモデルです。」
「企業・働く人・地域社会が共に活性化する『三方よし』を実現します。」
このように、単なる業務の効率だけでなく、地域に根ざした新しいパートナーシップを構築することで、地域社会全体の活性化を図っています。
今後の展望
今後は、以下の3つのポイントを軸に「
あっぱれHR」の展開を目指します。
1.
地域企業との連携拡大
宮城県や東北地域の中小企業とのさらなる連携を図ります。
2.
女性人材の育成と活躍支援
オンライン業務に必要なスキルを身につけられる教育プログラムを提供します。
3.
企業の『戦略人事』を後押し
外部委託を通じて、戦略的人事業務の実施をサポートします。
人口減少や多様な働き方が問われる時代に、地域企業がいかに新たな雇用モデルを構築し、誰もが幸せに働ける社会を目指すかが、今後の大きなテーマとなるでしょう。
この新しい取り組みが、地域企業の持続可能な成長とともに、日本社会全体の労働環境を改善するきっかけとなることを期待します。