訪日旅行者の行動変化に関する調査結果が示す次なる観光戦略

2024年に行われた「インバウンド旅行者への情報提供に関する調査」により、訪日旅行者の行動や意識に関する新たな知見が得られました。この調査は、株式会社JTB総合研究所が実施し、台湾及びアメリカからの旅行者を対象に行われました。調査結果は、訪日者が旅マエにどのような情報を必要としているか、また旅ナカの体験がどのように次回の旅行につながるかという観点から、重要な示唆を提供しています。

調査の結果

1. 再訪意欲の高い台湾とアメリカの旅行者
調査によれば、台湾の旅行者の77.4%、アメリカの53.6%が1年以内に再訪したいと回答しました。特に台湾では親日的な文化背景と、地理的な近さが影響していると考えられます。また、訪問したい都道府県には、東京、大阪、京都、北海道が挙げられ、台湾では沖縄、アメリカでは福岡も人気です。

2. 旅行中に興味を持った場所の違い
旅行者が旅ナカで得た情報によると、台湾の旅行者は温泉やスイーツ、観光施設を魅力的と感じる一方、アメリカの旅行者はテーマパークや高級レストランに関心を寄せています。このように、国によって嗜好が分かれることがわかりました。

3. 情報源としてのSNSや動画投稿サイト
台湾からの訪問者は動画投稿サイトやネットサーフィンを通じて情報を収集する傾向が高く、アメリカからの旅行者はSNSを多く利用しています。この違いは、滞在スタイルや旅行者の文化的背景からも影響を受けていると考えられます。

4. 年代による関心の差
旅行者が魅力を感じる画像の種類にも、年代による特徴が見られました。20代はアウトドア体験に興味を持ち、30代はキャラクター体験を含むアクティビティ、50代以上は食や景観を重視しています。

5. 帰国後の購入意向
調査によると、88.8%の旅行者が帰国後に日本の土産物を購入しており、台湾の旅行者は日本で訪れた場所のECサイトを利用する一方、アメリカの旅行者は自国で見つけた日本の商品を購入する傾向があります。

まとめ

この調査結果からは、日本を訪れる旅行者が持つ情報ニーズの変化が明らかになりました。特に旅行中に得た情報が次回の訪問を見据える上での重要な要素となることが示されています。今後、訪日観光業者は、旅ナカでの情報提供を強化し、次回の訪問を誘発する戦略を取る必要があります。さらに、旅行者ごとの特性に応じて情報を発信することの重要性も浮き彫りとなりました。

観光業者は、台湾やアメリカからの訪日旅行者が帰国後も日本を思い出してもらえるような取り組みを続けていくことで、持続可能な観光の実現に向けた一歩を踏み出すことができるでしょう。日本の文化や特産品を活かした戦略が求められています。