兵庫県の学生が体験する酒米の王様「山田錦」と日本酒の魅力
2024年12月1日、兵庫県の山田錦生産者と地域団体が共催するプロジェクト「二十歳の山田錦物語」が大関本社工場で開催されました。この企画は、兵庫県内の20歳を迎えた学生たちを対象に、山田錦の栽培と酒造りを実践しながら、日本酒に対する理解と関心を深めることを目的としています。現地の学生たちは、実際に田植えや稲刈りを経て、酒造りの工程を経験しました。
このプロジェクトは今年で4回目となり、特に注目される点は兵庫県が誇る酒米「山田錦」の重要性を再認識する機会を提供していることです。山田錦は日本酒の中でも最高峰の酒米とされ、その特質は灘の酒と切っても切れない関係にあります。
酒米の栽培と村米制度の理解
「二十歳の山田錦物語」は、兵庫県内の学生たちに「村米制度」を通じて、地域の農業と酒造りの歴史を体験させる試みです。村米制度とは、酒米生産地と指定された酒蔵間で結ばれる契約栽培の枠組みで、これにより高品質な酒米の生産が可能になります。学生たちはこの制度を学ぶことで、地域の農業の重要性を知り、酒造業者との密接な関係に気づくことができました。
プロジェクトの一環として、学生たちは6月に田植えを行い、10月には稲刈りに参加。その結果、今回の醸造体験に至りました。これにより、実際に自分が手がけた米から酒がどう作られるのかを体感できる貴重な機会となりました。参加する学生たちは、米から日本酒へ変わる過程に触れ、その醍醐味を実感しています。
醸造体験の多彩な内容
醸造体験の当日は、午前中に「恒和蔵」にて仕込み作業を体験。蒸米を運び、計量し、投入して櫂入れを行います。また、製麹体験や蔵見学もあり、酒作りにおける細かな工程を知ることができました。午後の座学では、酒造りの歴史や製法について学び、さらには大関のアンテナショップ「甘辛の関寿庵」にて他の参加者と交流する場も設けられました。
実際に酒造りを体験した学生たちからは、「蒸米の香りに魅了された」「櫂入れの大変さを実感した」「もろみの発酵過程に感動した」と様々な声が寄せられました。こうした経験が、彼らの日本酒への愛着を一層深めることでしょう。
これからの展望
「二十歳の山田錦物語」プロジェクトは、来年の2月に完成した日本酒のお披露目と地域交流会を予定しています。このイベントでは、学生たちが自らの手で作り上げた日本酒を味わい、その成果を地域の人々と共有する予定です。また、完成した日本酒は商品化され、一般販売も計画されています。
このプロジェクトを通じて、学生たちは日本酒の魅力を再発見し、地域とのつながりを深める機会を得ています。酒造りの未来を担う若者たちが、山田錦の魅力を広め、地域や日本酒文化を支えていく姿が今から楽しみです。