NTT西日本と山口県の新たな挑戦
2023年10月、NTT西日本株式会社と山口県は、生成AIを活用した実証実験を開始することを発表しました。このプロジェクトは、自治体の働き方改革を進める一環として、特に機微データを扱う業務に焦点を当てています。プロジェクトに使用される大規模言語モデル「tsuzumi」は、NTTが開発したものであり、その特性を活かすことで業務の効率化を図ります。
背景と課題
近年、日本では少子高齢化が進行し、生産年齢人口が減少しています。この状況は、自治体や企業が直面する大きな課題であり、働き方が多様化する中で、生産性向上が求められています。生成AIは、業務の効率化や生産性の向上を実現するための注目のツールとなっていますが、一方で情報漏洩や著作権侵害といったリスクも存在します。
NTT西日本は、こうした問題に対応するために、生成AIの導入に取り組んでおり、「tsuzumi」の技術検証を進めてきました。このモデルは、安価なGPUでも運用可能であり、機密性が求められる業務においても十分な効果が期待できるとされています。
Y-BASEの役割
山口県は、令和3年にNTT西日本との協力の下、やまぐちDX推進拠点「Y-BASE」を設立しました。この拠点では、DXに関する相談やコンサルティング、実証実験に至るまで、地域のDX推進をサポートしています。さらに、令和5年度からは独自のセキュリティ環境を構築し、生成AIの本格的な活用を進めています。
実証実験の詳細
本実証実験では、インフラとして小型のGPUサーバ上で「tsuzumi」を動作させ、実データを用いたテストが行われます。主な業務内容としては、機微データの要約や校正、業務マニュアルの検索および要約などが含まれます。実証実験では、業務特化型のチューニングが実施され、生成AIの精度向上も目指します。
各者の役割
- - NTT西日本:モデル「tsuzumi」の提供、データを基にしたチューニング、AIガバナンスの検討
- - 山口県:実データの提供、実験結果の評価、生成AIガイドラインの改訂
今後の展望
実証実験から得られた成果を踏まえ、「tsuzumi」の広範囲な業務への適用を進める計画があります。山口県内のさまざまな庁内業務や地域の市町村でも、生成AIの活用を検討しています。NTT西日本は、このプロジェクトを通じてさらなる技術の改善を目指し、西日本エリアでの業務の最適化を図っていきます。
この新たな取り組みが、日本の自治体業務の効率化や生産性向上に寄与することが期待されています。今後の進展に注目です。