千葉県一宮町、津波避難にドローンシステム導入
サーフィンのメッカとして知られる千葉県一宮町が、画期的な防災システムを導入しました。東京2020オリンピックのサーフィン会場としても使用された同町は、広大な海岸線と多くのサーファー、海水浴客を抱えることから、従来の防災システムでは迅速な避難指示が困難でした。そこで導入されたのが、ブルーイノベーション株式会社が開発した「津波避難広報ドローンシステム」です。
このシステムは、Jアラートと連動し、津波注意報以上の警報が発令されると自動でドローンを発進させます。ドローンにはスピーカーとカメラが搭載されており、海岸線約7.5kmに渡って避難指示を自動音声で伝達、同時に状況を撮影します。これにより、従来の方法では難しかった海上のサーファーへの迅速な情報伝達が可能になります。
ドローンの自動巡回システム
システムの中核を担うのは、ブルーイノベーション社の「BEPポート|ドローン自動巡回システム」です。このシステムは、ドローンの自動離着陸、充電を可能にするドローンポートと、自動飛行制御システムから構成されています。ドローンは予め設定されたルートを自動で飛行し、効率的な避難誘導を実現します。一宮町では、役場と東浪見小学校の屋上にドローンポートを設置。複数台のドローンが連携することで、広範囲をカバーします。
仙台市での成功事例
一宮町は、仙台市で既に運用されている同様のシステムの成功事例を参考に、今回の導入を決定しました。仙台市では、2022年10月からこのシステムが運用されており、その高い有効性が実証されています。一宮町は、仙台市の成功事例を踏まえ、より効果的な避難誘導システムの構築を目指しています。
地域防災力の向上に貢献
本システムの導入は、一宮町の防災体制を大幅に強化するだけでなく、全国的な防災力の向上にも貢献することが期待されています。津波リスクの高い沿岸地域への導入拡大も視野に入れ、ブルーイノベーション社は更なる技術開発と普及に努めていくとしています。
ブルーイノベーション株式会社
ブルーイノベーション株式会社は、ドローンやロボットの遠隔制御、統合管理を可能にするプラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」を開発、提供する企業です。点検、教育、物流など、幅広い分野でドローン技術を活用したソリューションを提供しています。東京証券取引所プライム市場に上場しており、その技術力と実績は高く評価されています。
今後の展望
一宮町におけるドローンシステムの運用開始は令和7年度を予定。このシステムが、多くの命を守ることに役立つと期待されています。また、この成功事例は、他の沿岸地域にも波及し、日本全体の防災体制強化につながる可能性を秘めています。今後、より高度な技術開発が進み、災害対策にドローンが不可欠な存在となる未来が期待されます。