人文・社会科学研究者を支援する新たなプログラム「デサイロ」が始動
最近、アカデミアでは人文・社会科学領域の研究者を対象にした新しいプログラム「デサイロ(De-Silo)」が始まりました。このプロジェクトは、私たちがどのような時代を生きているのかを探求することを目的としており、特にサイロ化の進行が問題視されている日本のアカデミアにおいて、研究者とアーティストが協力しながら社会に知を届ける新たな道を模索しています。
デサイロの4つの取り組み
「デサイロ」は以下の4つの主要な取り組みに焦点を当てています。
1. 研究者とアーティストの協働による「概念の社会化」
本プロジェクトでは、4名の研究者がそれぞれの研究テーマに基づいて社会の様相を探ると同時に、アーティストとのコラボレーションを通じてその成果を広く社会に発信します。これにより、研究の意義や価値をより多くの人々に伝えていくことを目指します。
2. アカデミックインキュベーター・プログラム
「デサイロ」では、特定の研究者だけでなく、幅広い研究者を支援するための助成金プログラムも運営する予定です。このプログラムによって、さらなる研究環境の向上を図り、活動を広げる予定です。
3. 情報発信とDiscordコミュニティ
プロジェクトに関連する情報を発信するために、Substackを活用し、人文・社会科学領域の研究者の情報交換を目的としたDiscordコミュニティを運営します。これによって、異なる領域間でのネットワーク形成が可能になることを期待しています。
4. DeSciの仕組みを応用した資金調達の実験
持続的な研究活動のためには資金調達が不可欠です。「デサイロ」では、Web3やブロックチェーン技術を用いた資金調達の可能性に挑戦し、これまでの資金調達方法を拡張しようとしています。
現在のアカデミアにおける課題
日本のアカデミアである「サイロ化」が進む中、研究者間の連携が損なわれ、特に人文・社会科学の領域では大きな予算格差が存在します。これは短期的な経済的利益を重視する助成金配分の結果だと指摘されています。
サイロ化による影響
人文・社会科学の研究予算が削減され、社会的意義が認められにくい状況が続いています。さらに、キャリアパスへの不透明感から大学院進学率も低く、研究活動の持続に影響を及ぼしています。これらの課題を克服するためには、アカデミアが社会に実質的な影響を与える必要があります。
デサイロのミッション
「デサイロ」は、人文・社会科学の領域における研究の価値を社会に伝え、その認知度を向上させることを目指しています。研究者たちの創造力と知見を新たな言葉やコンセプトとして作品化し、社会に届けることで、学術界と社会との関係を深めることを望んでいます。
研究テーマと研究者の紹介
デサイロプロジェクトでは、以下の4名の研究者が参加しています。
- - 磯野真穂:21世紀の理想的な身体について考察。
- - 柳澤田実:「私たち性 we-ness」の不在とその希求を探求。
- - 山田陽子:ポスト・ヒューマン時代の感情資本について研究。
- - 和田夏実:「生きているという実感」が灯る瞬間を探求。
それぞれの研究に基づき、新たな知見や視点を持った成果を作品として社会に還元していくことが目指されています。
今後の展開
デサイロの活動は、情報発信プラットフォームを通じて定期的に発表されます。また、Discordでのコミュニティ構築やSNSでの情報発信も行い、多くの方がこのプロジェクトに参加できるよう努めていきます。10月22日に開催されるローンチイベントでは、さらに多くの情報提供が予定されており、このプロジェクトへの関心を高める重要な機会として位置づけられています。
興味のある方は、ぜひ「デサイロ」の情報をフォローし、参加してみてください。