バイオマス発電所でのオンサイト実証試験
株式会社タクマ(本社:兵庫県尼崎市)は、独自の省エネルギー型CO2分離回収システムの実証試験を行うために、岡山県真庭市にある「真庭バイオマス発電所」に特別な装置を設置しました。このシステムは、ごみ処理施設やバイオマス発電所から排出されるCO2を独自の非水系吸収液を用いて効率よく分離・回収することを目的としています。
CO2分離回収システムの概要
近年、温室効果ガスの増加が深刻な問題となる中、CO2の分離・回収技術の重要性が増しています。タクマが開発したシステムは、特に燃焼排ガスに含まれるCO2を高純度で分離するために設計されており、低エネルギーでの運用が期待できます。具体的には、2018年から国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)との共同研究で、新たな非水系吸収液の開発を進めており、この吸収液は従来の方法よりも低温でCO2を放散できるという特長があります。
実証試験の具体的な計画
今回の試験は、出力10MWのバイオマス発電施設で行われ、1日あたり0.5トンのCO2を分離・回収する能力がある装置を新たに設置しました。試験は2023年7月から2024年6月までの1年間実施され、装置は現在24時間体制で稼働しています。排ガスの性状が変動する中で、どのように制御応答性を高めるかや、高いエネルギー効率を維持する運転条件の検証が進められています。最終的には、排ガス中の90%のCO2を分離回収することを目指しています。
将来的な展望
タクマは、今回の実証試験だけでなく、収集したCO2の施設園芸への利用や、固体炭素化技術の開発にも取り組んでいます。この取り組みは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた一助となり、2030年には脱炭素社会への道を切り開くことを目指しています。タクマの革新的な技術が、持続可能な未来に貢献することを期待しています。
参考リンク