積水化学、ベンハウス全株式取得で不動産事業強化へ
積水化学工業株式会社の住宅カンパニーは、2023年5月23日に首都圏での不動産事業を展開する株式会社ベンハウスの全株式取得契約を締結した。これにより、両社は協業と融合を進め、首都圏におけるプレゼンスの向上を図る。
1. 取引の背景と狙い
日本全体では人口減少が進んでいるが、首都圏には依然として人が集まり続けている。このため、安定した住宅供給が求められている中、積水化学はベンハウスとの連携を模索していた。ベンハウスは豊富な実績を持ち、土地取得、造成から販売まで一貫して行う総合不動産会社であり、特に狭小地における建築工法にも強みを持っている。
この提携により、以下の3つの主要な効果を期待している。
販売面の効果
当社のユニット工法とベンハウスの木造軸組工法を併用し、さまざまな立地条件や形状に応じた効率的な販売戦略を構築することが可能になる。
施工面の効果
両社の施工能力を共有することで、職人不足の問題に立ち向かいながら、施工時期を平準化できる。これにより、より計画的な施工が実現される。
賃貸管理面の効果
ベンハウスの持つノウハウを活かし、積水化学の施工物件のみならず、一般建築物に対する賃貸管理事業も強化する。これにより、幅広い顧客層にサービスを提供できるようになる。
2. 取引の今後の展望
今後、2025年7月から8月頃に株式譲受を予定している。これにより、ベンハウスの人材の力を最大限に活かし、さらなる成長が見込まれる。両社の協力関係を強化し、高いコミュニケーションを図りながら、地域に根ざした不動産事業を展開していく。
また、積水化学の理念である「人々が安心して永く住み続けられる持続可能な社会の実現」に向けて、社会課題の解決と事業成長を両立させる取り組みを続ける。
3. 株式会社ベンハウスの概要
ベンハウスは神奈川県横浜市に本社を構える不動産開発業者で、設立は1993年、資本金は5000万円である。事業内容には不動産開発、販売、賃貸管理が含まれ、2025年の売上高は91億円を見込んでいる。
この全株式取得は、首都圏における近未来の不動産市場をリードするための第一歩となる。積水化学の強みを持ちつつ、ベンハウスの地域に根ざしたノウハウを最大限活用し、未来に向けて新たな地平を切り開くことが期待されている。
この提携により、さらなる成長を遂げることができるか、今後の展開から目が離せない。