北海道のトップファーム、環境に配慮した糞尿処理装置を導入

北海道の畜産業界に新たな風

北海道常呂郡に拠点を置く株式会社トップファームは、肉牛・乳牛の飼育において、糞尿の堆肥化装置を新たに導入することを決定しました。これにより、約13,000頭を飼養する同社は700頭の増頭計画を推進し、環境への配慮と経済的健全性を両立させることを目指しています。

増頭計画に伴う懸念と解決策

トップファームは増頭計画にあたり、3つの主要な懸念事項に直面していました。1つ目は、既存の堆肥舎が家畜糞尿の処理に間に合わなくなる可能性です。2つ目は、飼養管理に注力するあまり、堆肥購入者のニーズである堆肥の含水率に配慮することで多くの労働力を割けなくなる懸念です。そして3つ目は、地域内での堆肥供給が過剰になり、地下水汚染が進行する恐れがあることです。これらを解決するために、処理能力を向上させ、必要な労働力を削減し、環境に配慮した堆肥化が求められていました。

新装置の特長とその機能

新たに導入される「急速土着菌発酵乾燥システム（ERS）」は、微生物の力を利用して急速に発酵・乾燥を行う装置です。この装置は、内部に土着菌を定植することで発酵熱を生成し、機械的に低圧に設定しています。このプロセスにより、大腸菌や有害菌を死滅させつつ、わずか1日で低含水率（約30％）の高品質な堆肥を製造できるという特長があります。これにより、従来の自然発酵にかかる3〜6か月が大幅に短縮され、温室効果ガスの排出も抑制されます。

さらに、現行の堆肥舎でも引き続き堆肥の混合が可能となり、地域外への堆肥販売を促進し、収益の増加が期待されています。運営側では、また敷料としても使用できるため、コスト削減も見込まれています。

経済的サポートと今後の展望

今回のプロジェクトは、畜産クラスター補助金を活用しており、その補助金により導入費用の約50%がカバーされます。また、中小企業経営強化法に則った法人税の優遇措置も受けられるため、より経済的にメリットのある事業推進が可能となります。

これに先立ち、同社の同様の取り組みが評価され、全国におけるこの技術の普及と、畜産業界の発展が期待されています。今後も、株式会社JETはその技術を全国的に導入し、環境保全と経済活動の両立を図る予定です。