農業の未来を創る!新技術の導入
2025年10月6日、アグリショット株式会社(和歌山県和歌山市)が発表した「薄膜型樹液流センサ」と解析サービス「Sapflow Monitor」は、農業の現場に革命をもたらす革新的な技術です。これらの技術は、植物の内部で流れる樹液の動きを非侵襲的に測定することができ、リアルタイムで水分状態を可視化することが可能です。つまり、気候変動や環境変化が進行する中で、農業の精密さを高めるための非常に重要な手段となります。
製品の特長
薄膜型樹液流センサ
薄膜型樹液流センサは、茎や枝に薄膜ヒーターを巻き付けることで樹液流量を算出します。この技術は、従来の侵襲的手法(グラニエ法など)とは異なり、植物を傷めずにモニタリングができるので、農作物の健康状態を保ちながらデータを取得することができます。
「Sapflow Monitor」×「Normanシリーズ」ゲートウェイ
アグリショット株式会社が開発した「Normanシリーズ」というIoTゲートウェイと、クラウドサービス「Sapflow Monitor」を連携させることにより、樹液流データのリアルタイム可視化と解析が実現。このシステムは、SigfoxやWi-Fi通信に対応しており、今後はLTE-M通信にも対応予定です。これにより、遠隔地での自動計測が低コストかつ省エネで行えるようになります。
具体的な活用シーン
この革新的な技術は、具体的な現場での活用が期待されています。例えば、ブドウ園では干ばつ時に樹液流センサを使用することで、水分の吸収状況を直接把握し、灌漑制御アルゴリズムの最適化に役立てています。
また、ミカン園では資材効果の評価にも活用されており、従来は効果が見えにくかった資材についても、樹液流の変化を通じて効果を定量的に解析できます。これにより、農業の科学的根拠が強固になります。
さらに、温室でのメロンの高品質生産にも寄与しており、樹液流速と環境因子を組み合わせることで、蒸散モデルを構築。これが、自動的な施水や裂果防止、糖度の向上に貢献しています。
開発の背景
このシステムは、東京大学の研究グループが多くの時間をかけて進めてきた農林水産省のプログラムに基づいています。この成果を基に、大学の知見を産業界の実用性へと転換したものです。農業の現場で確実に使えるセンサシステムとして、より実践的な形に仕上げられました。
今後の展望
アグリショット株式会社は、この薄膜型樹液流センサと「Sapflow Monitor」によるデータ解析プラットフォームを通じて、農業の灌漑や資材評価、環境制御の基準を新たに作り出そうとしています。国内外の研究機関や農業法人との連携を深め、AIを活用した蒸散予測モデルの進化を目指します。
科学と技術の融合によって、持続可能な食糧生産に貢献するという使命を掲げ、地球規模での農業の未来を切り拓いていきます。
会社概要