ハイラブル株式会社が取り組んだ日比谷公園における「にぎわい可視化システム」の開発が、このたび完了した。これは、日比谷公園に集まる人々の“にぎわい”や、様々な鳥の声を視覚的に表現するという画期的な試みである。このシステムは聴覚障害を持つ人々や、鳥に詳しくない来園者でも、公園を一層楽しむ手助けをすることを目的としている。
プロジェクトの背景
東京都では「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」として、あらゆる世代、性別、国籍、障害の有無にかかわらず、誰でも利用しやすく快適に過ごせる公園を目指している。2025年にはデフリンピックが開催され、日比谷公園がオリエンテーリングの会場となることが期待されている。このため、東京都はスタートアップと協力し、誰もが楽しめる公園を実現するための提案を募集した。
その結果、ハイラブルが「UPGRADE with TOKYO」のピッチイベントで優勝し、実証実験が実施されることになった。このシステムは、約1年間にわたる開発期間を経て、現在の形に至っている。
システムの特徴
開発された「にぎわい可視化システム」は、屋内の会話活性度を可視化する技術「Bamiel」を応用し、屋外での使用にカスタマイズされている。
このシステムでは、次の3つの柱で構成されている。
1.
公園の音環境を観測する装置
公園の景観や電源供給に配慮した特注の計測装置が、日比谷公園内の二箇所に設置され、24時間365日、環境音を観測している。この装置は防水機能があり、景観を保つためのデザインが施されている。
2.
にぎわいと鳥の声の可視化
このシステムは、「にぎわいモード」と「鳥の声モード」の二つのモードを提供する。「にぎわいモード」では、どの地点に多くの音があるかをヒートマップ形式で示し、特に賑やかな時間帯を示すことができる。「鳥の声モード」では、公園内の鳥の鳴き声を識別し、鳴いている種類や場所をアイコンで表示する。これにより、来園者はその場にいる鳥を見つけやすくなっている。
3.
バードカレンダーの制作
システムを活用した「バードカレンダー」も制作されており、観察しやすい鳥の情報や豆知識が載っている。訪れる人々は、このカレンダーを利用して、自身の観察結果を記録することができる。
実証実験と今後の展開
これらの取り組みを受け、2025年6月には実証実験が完了し、その後2026年3月まで東京都の委託事業としてシステムを提供する計画である。今後は、機能の向上や新しいイベントの実施が検討されている。
日比谷公園の自然とにぎわいを一層楽しむことができるこのシステムは、都民の憩いの場であり、かつ多様な人々が楽しめる空間作りに寄与することが期待されている。
ハイラブル株式会社は引き続き、公園を楽しむための新しい提案を積極的に行っていく予定である。
ハイラブル株式会社の概要
ハイラブル株式会社は2016年に設立され、音環境分析を通じたコミュニケーションの向上を目指して新しいサービスを提供する企業である。その開発した各種のクラウドサービスは、対面またはオンラインのコミュニケーションを見える化する機能を有し、多くの人々に利用されている。