災害の多発する現代において、建築物がどのように影響を受け、またそれにどのように対処すべきかは重要なテーマです。近年、集中豪雨による土砂災害が頻発しており、その脅威は私たちの日常生活に直結しています。そんな中、福岡県飯塚市に位置する近畿大学産業理工学部の小野聡子教授が、田川地区消防本部にて「災害時における建築物被害の基礎知識」をテーマにした講義を行います。この講義は、令和7年(2025年)8月19日と20日の2日間にわたり開催され、田川地区の消防吏員を対象にしています。
この講義が必要とされる理由は、2021年度に田川地区で実際に発生した土砂災害があるからです。それ以来、田川地区消防本部では、消防吏員の知識向上を目的とした「土砂災害等講習会」を実施しています。今年度は拡充され、年2回の開催に増えました。小野教授はこの講習会の全てのプログラムに参加しており、建築物の免震構造についての専門的な知識を提供しています。
講義の内容は、災害時において建築物が受ける様々な被害状況を理解することに重点を置いています。例えば、災害発生時に建物がどのように損傷し、それにどのように対処するべきかを学ぶことができます。加えて、ワークショップでは地盤の液状化の実験を通じて、実際の災害時に考慮しなければならない応急処置の方法を伝えることを目的としています。講義を通じて、参加者は知識を深め、自らの職務に役立てることができるのです。
小野教授は、博士(工学)を取得し、建築力学を専門に研究しています。彼女は建物の免震や制震に関する知識を深めており、さまざまな建築物の耐震評価を行い、大学や企業の技術顧問としても活動しています。このような知識と経験を活かし、参加者に対して有意義な教育を提供することが期待されています。
講義の開催は、田川地区消防本部の2階講堂で行われ、約15名の消防吏員が参加予定です。参加者は、実際の災害時に備えて非常に重要な知識とスキルを身につけ、地域社会の安全に寄与することが期待されています。この特別講義を通じて、災害時の建築物に関する知識が多くの人々に広がることを願います。