進化する建設現場に新たな風
建設業界は、テクノロジーの進化と共に大きな変貌を遂げています。最近、株式会社Liberaware、KDDIスマートドローン株式会社、および株式会社大林組の3社が協力し、国内初の試みとして自動充電ポート付きドローンを建設現場に設置し、目視外飛行を実施しました。その結果、効率的な進捗管理を促進する方法が確立され、興味深い成果が得られました。
取り組みの背景
群馬県安中市で進行中の上信越自動車道北野牧トンネルのプロジェクトでは、岩石が約9万5,000m³も残存しており、ドローンの導入が期待される場面でした。NEXCO東日本が主導するこのプロジェクトは、供用中の高速道路の交通を止めることなく、安全かつ効率的に岩盤を掘削することを目的として2017年に始まりました。従来の測量手法では時間と労力がかかり、精度は課題でしたが、自動充電ポート付きドローンを用いることで、これを解決できる見込みが生まれました。
ドローンの運用と成果
大林組は、KDDIスマートドローンが提供する遠隔運航サービスを利用して、ドローンを現場に設置。週に一度、東京都内のオフィスからこのドローンを遠隔操作することで、現場全体を撮影し、リアルタイムでデータを収集することに成功しました。この流れをリベラウェアが解析し、掘削量を算出することで作品の進捗を可視化しました。
取り組みの成果として、次の点が挙げられます。
1.
スピードと効率化:従来2日掛かっていた測量作業が、20分の遠隔運航で完了しました。これにより、現場に人を配置せずとも高精度な測量が可能となりました。
2.
持続可能な運用:ドローンの運用は2024年7月に始まり、1年間無事故で続けられました。これには、安全確認にチャットアプリを併用するなどの工夫がありました。
3.
全自動化の流れの確立:データ収集から分析、進捗の可視化まで一貫した自動化が実現され、作業の精度と効率が大幅に向上しました。
この取り組みは、ドローン技術の新たな可能性を示しており、未来の建設業界において重要な役割を果たすことが期待されています。
今後の展望
大林組は、この成果をもとに、更なる出来形管理や品質管理への応用を進めていく計画です。また、新たな技術を導入し、他の土木工事への展開を目指すことはもちろん、夜間や悪天候でも安定した運用を実現するために努めていく意向を示しています。
さらに、3社は共同で、ドローンを用いた社会のインフラ化の推進を目指し、建設業界が直面する課題解決に貢献することを目指します。これにより、より安全で豊かな社会の実現につなげていくことが期待されています。
このように、最新技術を駆使した取り組みによって、建設作業は大きく変わりつつあり、今後の展開が見逃せません。