新たなる放送システムの幕開け
北海道の札幌テレビ放送(STV)は、東京エレクトロン デバイス長崎(TED長崎)が提供する最新のネットワーク対応遠隔監視システムを導入し、新たな運用体制がスタートしました。このシステムは、ラジオ中継局向けに特化したもので、より効率的な運用を実現します。
導入の背景
近年、放送業界では経営の効率化を目的として、共同利用や設備統合などが進められています。STVを含む北海道民放5社は、共同で利用できるクラウド型の遠隔監視システムを構築する方針を打ち出し、2024年11月から本格的に運用を開始します。この取り組みの一環として、中継局の遠隔監視・制御システムの更新が急務となったのです。
これまでSTVでは、テレビとラジオの中継局用のシステムが一体となって運用されており、テレビ中継局の更新に伴い、ラジオ中継局のシステムも一括で改修する必要がありました。しかし、この更新が導入コストを大きく膨らませる要因となってしまったため、コストを抑えつつ従来の運用体制を維持できるシステムの導入が求められました。
この課題に対し、STVはTED長崎の「RMS-DIO9632-PI/RMS-DIO4816-PI」という監視・制御ユニットおよび「RMS-AI08」というアナログ入力モジュールを選定しました。このシステムにより、テレビとラジオの放送装置の監視が統合的に行えるようになります。
提供システムの詳細
「RMS-DIO9632-PI」と「RMS-DIO4816-PI」はそれぞれ最大で監視128点、制御48点の機能を持ち、ラジオ中継局に必要不可欠な設備をサポートします。選択可能な電源ユニットも冗長化されているため、安定した運用が期待できます。
TED長崎は、異なる業種での設備監視経験を活かして、ハードウェアを変更することなく、ソフトウェアのカスタマイズを行い、中継局の運用に必要な機能を実現しました。
新システムは、北海道総合通信網株式会社が提供するクラウドプラットフォーム「S.T.E.P SC2クラウドサーバ」で動作しており、アプコットの遠隔監視・制御ソフト「Packet Caster」と連携して効率的に管理されています。
導入効果
新しい遠隔監視システムの導入により、以下の効果が期待されています。
1.
コストの削減
テレビ中継局用のシステムと汎用プロトコルによる連携で、専用システムの導入に比べ大幅なコスト削減が実現されました。
2.
高い可用性の確保
RMS-DIO9632-PIのWebUIを利用すれば、クラウドサーバがダウンしても監視・制御が続行できます。
3.
作業負担の軽減
設備がコンパクト化され、設置や運搬が容易になりました。
この新システムは2025年1月から順次、道内のSTVラジオ中継局に導入され、2026年3月までに16拠点への設置が完了する見込みです。今後、TED長崎は放送業界のシステム統合や効率化の推進に寄与することで、より多くの企業に貢献していくとのことです。
展示会出展予定
TED長崎は、2025年4月23日から25日にかけて東京ビッグサイトで開催されるJapan IT Week「データセンターEXPO」に出展予定です。興味のある方は、是非足を運んでみてください。
企業情報
1958年に設立されたSTVは、日本テレビ系列の放送局で、北海道に密着したコンテンツを提供してきました。
長崎県益田市に本社を構えるTED長崎は、スマートエネルギー関連の技術を手がける企業として、幅広いサービスを提供しています。