膝サポーターが歩行の質を向上させる効果を実証! 産総研の研究が歩行の対称性を改善
近年、高齢者の歩行能力維持は重要な課題として注目されています。そんな中、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は、膝サポーターが歩行の質、特に歩行の対称性を向上させる効果があることを実証しました。
産総研の研究グループは、健常な高齢者を対象に、膝サポーターを着用した状態と着用していない状態で早歩きをしてもらいました。その結果、膝サポーターを着用したグループでは、歩行の対称性が改善され、身体の左右のバランスがより安定することが明らかになりました。
歩行の対称性は、転倒リスクとも密接に関係していると言われています。高齢者の場合、特に早歩き時に転倒のリスクが高まることが知られていますが、今回の研究結果から、膝サポーターは早歩き時の転倒リスクを低減するのに役立つ可能性が示唆されました。
膝サポーターの着用で歩行の対称性が改善
研究では、光学式モーションキャプチャー装置と慣性計測装置(IMU)を用いて、歩行中の身体の位置座標や加速度を計測しました。そのデータから、歩行の対称性を示す指標である「Improved Harmonic Ratio(iHR)」を算出したところ、膝サポーターを着用していないグループでは、早歩き時のiHRが低下していました。これは、歩行の対称性が損なわれていることを意味します。
一方、膝サポーターを着用したグループでは、早歩き時でもiHRは高く、歩行の対称性が保たれていることが確認されました。つまり、膝サポーターを着用することで、早歩き時の歩行の質が向上し、転倒リスクの軽減につながる可能性があるということです。
高齢者の歩行能力向上に期待
今回の研究は、膝サポーターが歩行の質向上に役立つことを示す科学的根拠となりました。今後、産総研は、さらなる研究を進め、高齢者の歩行能力向上に貢献できるよう、ヘルスケア製品・サービスの検証データの取得を継続していきます。
研究のポイント
膝サポーター着用が歩行の対称性を改善
早歩き時の転倒リスク低減に貢献する可能性
* 高齢者の歩行能力向上に期待