岡山大学が発表した漢方薬原料の網膜色素変性への新しい可能性

岡山大学が切り拓く漢方薬の可能性

国立大学法人岡山大学は、漢方薬原料に含まれる候補分子が神経保護作用を持ち、網膜色素変性に効果を示す可能性があることを発表しました。この研究は、加齢や遺伝的要因によって引き起こされる網膜色素変性に関するもので、網膜の視細胞を保護する重要な効果が期待できるというものです。

研究の背景

網膜色素変性は、視神経が徐々に変性し、視力が低下する疾患で、多くの遺伝子異常が関与しています。この病気は、様々な神経変性疾患と同様に、視細胞を守る物質が進行を遅らせるための薬剤としての開発が求められています。日本では、漢方薬と西洋薬の評価が同等に行われており、この独自の環境が新たな治療法の発見を可能にしています。

研究の詳細

岡山大学の松尾俊彦教授を中心に行われたこの研究では、視細胞保護効果が示されている漢方薬原料の植物に由来する化合物について分析が行われました。研究チームは、東洋医学の知識を活用し、既存の薬剤の新しい用途を探ることに注力しています。そして、特定の成分が網膜色素変性の進行を抑える可能性が確認されたことが、研究成果として発表されました。

この研究は、2024年12月にスイスの専門誌『Frontiers in Medicine』に掲載され、学術的にも高く評価されています。今後、漢方薬の持つ特性を活かし、新しい治療薬が開発されることが期待されています。